近年、独立式キッチンからオシャレな対面式キッチンに変えたい!と考えている人が増えています。キッチン器具メーカーのリンナイ株式会社の調査によると、約60%の人が「理想のキッチンは対面式」と回答しており、人気が高いことが分かります。
対面式キッチンは”オシャレ”というイメージがありますが、人気の秘密はそれだけではありません。本記事では「対面式キッチンが気になる」という方向けに、対面式キッチンの種類・メリット・デメリット・リフォームの費用相場をご紹介していきます。
現在のご自宅のキッチンスタイルについて調査したところ、他のスペースから壁で仕切られた「独立型」が38.9%で最も多い結果となりました。続いて、「オープン型」30.5%、「カウンター型」26.5%、「アイランド型」1.6%と続きました。
リンナイ【熱と暮らし通信】「キッチンスペース」に関する意識調査
一方で理想のキッチンスタイルについては、「カウンター型」35.0%、「アイランド型」25.7%という結果となり、対面式キッチンの人気が高いことがわかりました。
対面式キッチンの種類
対面式キッチンの種類は、大きく分けて2種類あります。ペニンシュラ型とアイランド型です。また、それらの派生としてI型・L型・U型・Ⅱ型が存在します。
ペニンシュラ型
ペニンシュラ型はキッチン本体の片側が壁に接地しているタイプを指します。ペニンシュラは「半島」という意味でして、キッチンが半島のように壁側から突き出しているのが特徴です。
カウンターの一部分だけに間仕切り壁を配置することで、ダイニング側からは見えない収納スペースを確保することが可能です。キッチンの前に椅子を置くことで、バーカウンターのような仕様で楽しむこともできます。リフォーム費用は、アイランド型に比べると抑えられる傾向にあります。
アイランド型
アイランド型はキッチンが四方に接地しておらず、島(アイランド)の様に、部屋の真ん中にあるようなタイプを指します。キッチンの両サイドから出入りができ、ダイニングとの一体感が抜群で、対面式キッチンの中でも圧倒的な解放感があるのが魅力です。
キッチンがダイニングに溶け込むので、ダイニングにいる家族やゲストと一緒に調理を楽しめます。正に、キッチンが主役のダイニングを実現します。リフォームは大がかりな工事になることが多く、ペニンシュラ型に比べると、費用が高額になりやすい傾向にあります。
I型
I型は、一列にコンロ・シンク・調理台を並べた、オーソドックスな型です。構造がシンプルでスペースも確保しやすく、リフォームしやすいのが特徴です。
調理の際には、横に移動することになるので、いつでもダイニングの方を向いて調理ができます。リフォーム費用を一番抑えられるのが、このI型です。キッチンを大きくするために横に長くしすぎてしまうと、キッチン内の導線も長くなってしまいます。
L型
L型は、Lの字型をしたキッチンのタイプです。例えば、正面にはシンクと調理台を配置、左側の壁側にはコンロを配置、といったことが可能です。壁側にコンロがあるため、油がハネても掃除がラクに済むこともメリットのひとつでしょう。壁付キッチンと対面式キッチンの良いところを組み合わせたような型です。
U型
U型は、Uの字(コの字)型のキッチンを指します。正面には調理台、左側には加熱機器、背面にはシンク、といった形です。調理中、くるっと方向を変えるだけで作業を切り替えられるため、調理効率の高いキッチンになります。
Ⅱ型
Ⅱ型は、壁付キッチンとアイランド型キッチンを組み合わせたタイプです。アイランド型キッチンにはシンク・調理台を配置し、背面の壁付キッチンには加熱機器を配置する、といったように、キッチンに挟まれるような形です。リフォームするには広いスペースが必要となりますが、家族・友人などみんなでわいわいキッチンを囲んで調理したい人向きです。
対面式キッチンのメリット
対面式キッチンのメリットはこちらの通りです。ひとつずつご紹介していきます。
- 家族とのコミュニケーションが取りやすい
- 子供の様子を見ながら料理ができる
- ゲストのおもてなしがしやすい
- 収納スペースを拡大できる
家族とのコミュニケーションが取りやすい
対面式キッチンは間仕切り壁が無いため、ダイニングを向いて家族と会話をしながら調理することができます。レイアウト次第では、家族とテレビを見ながら調理することも可能です。壁を向いたまま調理をする独立式キッチンに比べ、調理中のコミュニケーションが大きく増えるでしょう。
子供の様子を見ながら料理ができる
特に小さなお子さんがいる家庭では、お子さんの様子を確認しながら調理ができたら安心ですよね。対面式キッチンはダイニングを見渡せるので、お子さんに何かあったらすぐに気が付くことができます。
ゲストのおもてなしがしやすい
ダイニングに居るゲストからは見えづらい位置に、ゴミ箱やあまり見せたくない家具・器具などを配置することができます。また、ゲストと談笑しながら調理や洗い物ができるため、おもてなしがしやすく、かつ見られたくない物は隠すことができるので、ゲストを招待しやすい空間になります。
収納スペースを拡大できる
ダイニング側のスぺースに鍋・フライパン・包丁などを収納し、反対の壁側に食器・炊飯器・電子レンジを置くなど、収納スペースを拡大することができます。独立式キッチンの場合、壁側のみが収納スペースである場合が多いため、比べると対面式キッチンの方が広々と収納することが可能になります。
対面式キッチンのデメリット
反対に、対面式キッチンのデメリットはこちらの通りです。
- 臭いがダイニングに移りやすい
- 部屋のスペースが狭くなる可能性あり
- 油ハネ・水ハネが生じる
臭いがダイニングに移りやすい
対面式キッチンは、仕切りが無くダイニングと接しています。そのため、独立式キッチンに比べると臭いがダイニングに移りやすいです。換気扇の位置を調整するなどの対処が必要になる場合があります。
部屋のスペースが狭くなる可能性あり
独立式から対面式にリフォームをした場合、一般的にキッチンの面積が大きくなります。その分、ダイニングのスペースを削る形になり、部屋のスペースが狭くなりがちです。また、キッチンを大きくすることで、移動できる調理スペースが狭くなることも考えられます。
油ハネ・水ハネが生じる
ダイニングとの間に間仕切り壁が無い仕様の場合、調理中・水洗い中に、油ハネ・水ハネがダイニング側に生じてしまうことがあります。気になる場合は、油ハネガードなど衝立を設置するなどして対処が必要です。
対面式キッチンの「ここが気になる」
「対面式キッチンのメリットとデメリットは分かったけど、さらに細かい部分が気になる」という方向けに、もう少し深堀りした、気になる部分と対処方法を並べてみました。
配膳しづらい?
対面式キッチンだとダイニングテーブルへの配膳が面倒なんじゃないか、と思われるかもしれません。もし、ダイニングテーブルへの配膳が大変だと感じる場合は、ダイニングテーブルをキッチンに直接くっつけるという手もあります。また家族に手伝ってもらうことで、コミュニケーションにも繋がります。
開放的すぎて落ち着かないのでは?
アイランド型の場合、解放感がある反面、四方に壁が無いので調理している様子も丸見えになってしまいます。ペニンシュラ型の場合、”キッチンの半分に間仕切り壁を接地する”という策を取ることができます。コンロ前に壁があれば開放的になりすぎずに、調理にも集中することができるでしょう。
手元が丸見えになりすぎるのでは?
基本的にキッチンカウンターには物を置かず、収納スペースをうまくつかった方が生活感が無くなり、綺麗な印象を与えるでしょう。ただ、手元を見られると気になる場合は、キッチンのカウンターに高さを出したり、小物や観葉植物を置くことである程度、隠しやすくなります。
小さい子供がいる場合はどうなの?
元気に走り回るような小さいお子さんがいる場合、アイランド型を採用するのは時期的に少し早いかもしれません。アイランド型はキッチンとダイニングに境界線が無いため、調理中にキッチン周りが遊び場になってしまう可能性があります。ある程度キッチンとダイニングに境界線のあるペニンシュラ型を採用するか、もう少し大きくなるまでリフォームを待った方が得策でしょう。
対面式キッチンと壁付きキッチンの比較
対面式キッチンと、壁を向かいにして調理を行う壁付きキッチンを項目ごとにリストで比べてみました。ご家庭の都合や環境によってどちらが向いているか、チェックにお役立てください。
項目/キッチン | 対面式キッチン | 壁付きキッチン |
コミュニケーション | ◎ | △ |
ゲストへのおもてなし | ◎ | △ |
全体の部屋のスペース | 〇 | ◎ |
調理スペース | 〇 | 〇 |
収納スペース | ◎ | 〇 |
調理の効率 | ○ | ○ |
配膳の効率 | 〇 | ◎ |
調理への集中 | ○ | ◎ |
普及率 | 〇 | ◎ |
人気度 | ◎ | 〇 |
対面式キッチンのリフォーム費用の相場
独立式キッチンから対面式キッチンにリフォームした場合の費用の相場について、解説します。リフォーム費用を見積もる上で大事なことは、「絶対に譲れない点・妥協できる点・今のキッチンの不満な点」をまとめて、リストにして洗い出しておくことです。現在のキッチンからどれだけ変更を加えるかによって、工事にかかる費用が変わってきます。自身のこだわりはどこにあるのか、リストで確認しておきましょう。
リフォーム費用:50~100万円以下の場合
50万円以下の予算の場合、リフォームできる部分はあくまでキッチンの一部分に留まります。例えば、ガスコンロのみIHに変更、収納スペースのみ変更、食洗器のみ追加、などです。この価格帯では、独立式の壁付キッチンから対面式キッチンにすることは少し難しいでしょう。
リフォーム費用:100万円~150万円の場合
独立式の壁付キッチンから、対面式キッチンにリフォームできる最低ラインの予算です。そして、対面式キッチンにすることで床・壁・天井との色調合わせが気になってくるものです。追加でリフォームするパーツ・グレードも合わせて検討する必要が出てきます。
リフォーム費用:150万円~の場合
壁付キッチンからアイランド型キッチンに変えられるか変えられないかのギリギリのラインです。キッチンの場所を変えるため、換気扇を天井に埋め込んだり、電気の配線など配管工事をする必要が出てくるため、費用がかさばりやすくなります。
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現在の環境、間取りに合わせて検討するのがベスト
今回は、対面式キッチンについて解説をしてきました。結論として、対面式キッチンと独立式キッチンのどちらが良い、ということはありません。家族構成や、間取り、予算、その他の優先事項によって良し悪しが決まります。対面式キッチンへのリフォームを検討されている方は、ご自身の都合・環境に合わせてリフォームを検討してみてください。うまく工夫をすることで、費用を抑えつつも、理想の対面式キッチンに出会えることでしょう。