リフォームの基礎知識

ハウスメーカーとは何が特徴なのか?|リフォームとの関連性は?

ハウスメーカーとは、住宅を販売している大手の会社ということはみなさんご存知だと思います。テレビでコマーシャルも流していますので、ハウスメーカーの名前を頻繁に耳にすることも多いでしょう。しかし何を専門にやっている会社なのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな方々の疑問を解決するために、ハウスメーカーの概要や特徴、大手ハウスメーカーの紹介やリフォームとの関連性を紹介します。建物に関するお悩みを解決するための参考にしてください。

ハウスメーカーの概要

ハウスメーカーとはどのような会社なのか、その内容を大まかに説明したいと思います。簡単に言うと家をひとつの製品として製造している会社で、工場で電化製品や車を作っている会社と同様の考え方で運営されています。設計や技術の開発、営業やアフターサービスなどを社内で分業し、パーツを組み立てる要領で家を作り顧客に提供しているのがハウスメーカーなのです。

ハウスメーカーとは住宅を大量生産する会社

ハウスメーカーに住宅の新築を依頼した場合、メーカーが用意した設計のラインナップから、自分の好みのデザインを選ぶことが一般的です。注文住宅のカテゴリーになりますが、間取りなどはある程度決められています。

規格を統一することで住宅の大量生産が可能となり、低コストで一定した品質の住まいが供給できるのです。屋根や外壁の色、内装などで違いを出せますが、建て方は統一されています。建て方が決まっていますので、職人さんの技量に頼ることなく一定の品質で住宅を大量生産できるのです。

規格に基づいた家づくり

規格で統一されているのは建て方だけではありません。建材や部屋のサイズなども規格化されています。例えば建材のコストカットを実現するため、原材料を大量に手配して同じ寸法で加工しています。建材は機械で均一に仕上げられているので、現場での調整が最小限になり、施工上でもコストダウンが可能となるのです。

また規格を統一して認可を受けることによって、住宅を建てるときに必要な様々なチェックや審査を省略できるので、そういった面もコストダウンにつながっています。

豊富な実績による信頼の建築技術

大手のハウスメーカーであれば、取り扱っている物件数も多くなるのは当然です。建築条件は地盤や風土で異なるので、数々の物件で培われたノウハウを蓄積し、独自の建築技術として自社の住宅に活用しています。したがって経験値が高いハウスメーカーほど様々な顧客のニーズに応えることができるのです。

担当者の役割分担も明確になっているので、各分野に特化した対応ができるところも信頼性につながっています。

専門スタッフがデザインや技術を研究

技術研究を専門に行う部門があるので、建物の耐久性や建築工法、施工の簡略化につながる建材の加工方法など、住宅建築にかかわる様々な研究を行なっています。常に最新の技術やデザインを追求しているので、機能と外観をバランスよく保ったプランがそろっています。

専門スタッフが顧客対応するハウスメーカーもあるので、プロの知見から疑問や質問を解決することも可能です。

ハウスメーカーの特徴

施工からアフターケアまでの対応が充実していることが、ハウスメーカーの特徴といえるでしょう。大手と中小での差はありますが、ハウスメーカーと呼ばれるためにはそれなりの技術と実績が必要になります。そういった背景もあり、様々な仕組み作りを充実させている点が、工務店との違いと言えるでしょう。

建築資材を自前で生産

ハウスメーカーの場合、施工の簡略化や高精度の組み立てを実現するため、自社工場や外注で建築資材をプレカットしています。プレカットとは専用の加工機を使って、木造住宅に使われる建築資材を事前に加工する技術です。出来上がったパーツを組み立てていく施工なので、手作業で柱などを加工する工務店と比べ、作業時間を1/20まで抑えられます。

また自前の建築資材を使い、工場で組み立てた建物を現地に設置する工法もあります。こちらは屋内での組み立てになるので、建築精度や工期が天候に左右されません。

仕上がりが安定している

建築資材の高精度化だけでなく、建物の規格が統一化されているために、ムリやムダのない施工が可能になります。また施工マニュアルが準備されているメーカーも多く、人的なムダを減らす仕掛けも抜かりがありません。さらに職人さんの技術や技量で仕上がりが左右される事を防ぐため、独自の施工や品質の管理基準を設けて、作業の安定化を図っています。

提案力が高い

ハウスメーカーでは施工主とのやり取りを営業マンが担当します。多種多様な施工実績を元にした教育が行われているので、施工主の要望に高い提案力で応えられます。また専任の技術者が営業をフォローしてくれるので、技術的な側面からの提案も充実しています。

一方で工務店では人員が限られているため、職人さんが複数の仕事を兼任しています。ハウスメーカーでは、営業と技術の専任体制や、施工実績による豊富なアイディアがそろっているので、こういった点に違いがあると言えるでしょう。

アフターケアが充実

新築住宅では、メーカーは10年間保証することが法律で義務付けられています。ただし法律で定められている保証の範囲は、基本的な構造の部分と雨漏りだけです。一般的に築年数が10年以上経ったあたりから、色々な不具合が出てくるものですが、法律上の保証ではカバーできないのが実態です。

そういった事情を考慮して、各ハウスメーカーでは保証期間を長くしたり無料点検を充実させたりしています。保証期間を30年や60年に延長する設定に加え、新築から20年は無料で修理してくれるメーカーなどもあり、各社で独自の保証を充実させています。

大手ハウスメーカーを紹介

大手ハウスメーカーの8社について概要を紹介します。どれも一度は聞いたことがある社名だと思いますので、比較する上での参考にしてください。

ミサワホーム

南極観測隊の居住棟を手掛けるまでの技術を持ったハウスメーカーです。大容量の収納空間を確保しながら居住空間を広げる「蔵のある家」は、ミサワホームの代名詞とも言えます。木質パネル接着工法を用いて、モノコック構造の特性を活かした強度を実現しているので、地震に強い建物を提供しています。

積水ハウス

戸建だけでなく分譲マンションや賃貸住宅の設計や施工、不動産の仲介やリフォームまで、住まいに関する事柄を幅広く扱っているのが積水ハウスです。鉄骨を用いたダイナミックフレームシステムやフレキシブルβシステム、木造軸組み工法に独自の技術を盛り込んだシャーウッド工法など、設計の自由度と耐震性を兼ね備えたプランが特徴です。

セキスイハイム

積水ハウスと同様に、積水化学工業のハウス事業として設立されたのがセキスイハイムです。自社工場で住宅ユニットを製造し、現場で組み立てるユニット工法を採用しています。この工法は高層ビルなどでも使われており、ユニットを重ね合わせるボックスラーメン構造という技術は、強度と設計の自由度を両立させたプランが実現可能です。

大和ハウス(ダイワハウス)

大和ハウス工業も積水ハウスと同様に、注文住宅だけでなく賃貸住宅や分譲マンション、中古住宅や土地活用に至るまで、様々な事業を展開しています。在来工法とユニット工法のメリットを両立させた鉄骨軸組構造を採用しており、設計の自由度と短納期を実現させています。また柱や梁などを専用部材で接合する「ディー コムスシステム」は、強度アップと納期短縮を両立させた木造軸組工法です。

パナソニックホームズ(パナホーム)

パナソニックホームズは、万が一の地震による建て替えを保証してくれる「地震あんしん保証」が特色です。HS構法と呼ばれる制震鉄骨軸組構造を用いることで、高層ビル建築と同等の制震技術で住宅のゆがみや倒壊を防ぎます。またパナソニックグループの総合力を活用した多角的なプランが魅力で、住宅設備や空調、再生可能エネルギーの運用など様々なプランがラインナップされています。

住友林業

住友林業は木造の家づくりにこだわっているハウスメーカーです。ただし従来の木造軸組工法ではなくビッグフレーム構法を採用することで、強度と間取りの自由度を両立させています。木の質感にこだわった施工により、室内の雰囲気を色みや風合いでコーディネイト。木造住宅の天敵と言えるシロアリや湿気の対策も万全で、耐久性の面でも安心できる技術が特徴です。

トヨタホーム

ものづくりで世界に認められるトヨタ。その工場で作られた建材を使って施工するのがトヨタハウスです。ワイズジョイントS工法を採用することで、従来の鉄骨ラーメンユニット工法より柔軟な間取りが可能になりました。高断熱と全館空調を組み合わせた快適性を追求していて、熱交換型の自動換気システムもラインナップされています。また60年の長期保証も魅力のひとつです。

ヘーベルハウス

ヘーベルハウスとは、都市型住宅の建築に特化した旭化成ホームズの注文住宅です。土地の面積が限られている都市部において、室内空間を生み出すデザイン力が快適な住環境を作りだしています。空間を作りだす技術として、ハイパワード制震ALC構造を採用しており、少ない部材で強度を確保しつつ間取りの自由度を実現しています。

ハウスメーカーのリフォーム

新しい住宅を提供するだけがハウスメーカーの仕事ではありません。中古住宅をリユースする需要も増えてきていますので、ハウスメーカーでもリフォームに力を注いでいます。代表的な事例を紹介しますが、他にも特色のあるプランが用意されていますので、気になるハウスメーカーのホームページなどを参考にしてください。

リフォームをパッケージで提供

ハウスメーカーによるリフォームでは、基本的に顧客の予算や要望に応じて、部分的ではなく総合的なリフォームを提案しています。例えば三井不動産のリフォーム「新築そっくりさん」では、無料の家屋診断に基づいたプランが提案されます。また積水ハウスの「すこやかリフォーム」では、シニア層をターゲットにした改築を提案しており、居住空間における温度差の解消や安全性の確保、住環境の改善などを重視した提案がなされています。

リフォームを部分的に考えるのではなく、総合的なまとまりを重視した提案が受けられるので、バランスの良い仕上がりが期待できます。ただしプランの自由度が低かったり、料金が割高になったりするデメリットや、自社物件しかリフォームを受け付けない場合もあるので、十分な検討が必要と言えるでしょう。

専門スタッフやプランナーがサポート

リフォームを機にデザインや間取りにこだわりたいユーザーのニーズを踏まえて、サポートを充実させているハウスメーカーが三井不動産です。設計やデザインを専門に担当するスタッフやプランナーを配置して、きめ細やかなサポートに徹しています。また三井不動産が行うリフォーム対象物件の事前調査は、建物の現状を元にリフォームをサポートするサービスといえます。

ハウスメーカーでのリフォームを検討する際は、サポートが充実しているかも忘れずにチェックしましょう。

施工は外注を活用

自社で工事部門を持たないケースが多く、リフォームの施工は外注するのが一般的です。ある一定のスキルを持った業者が施工しますが、職人の技能が必要で難易度が高い素材については敬遠される傾向にあります。

しかし施工自体がシステム化されていますので、標準的な建材を使ったリフォームは完成度が高いと言えるでしょう。ただし施工のシステム化にはデメリットがあります。外注業者がさらに他の業者に外注するパターンが、施工費用が膨らむ要因になっていることです。同じ施工条件でも、工務店やリフォーム会社の方が割安になる場合もあるので、相見積もりを取って確認することをおすすめします。

充実した保証による安心感

ハウスメーカーの保証体制はリフォーム物件でも充実しています。新築の保証ほど充実した内容ではありませんが、「新築そっくりさん」はリフォーム後の最長10年間は保証される設定です。またキッチンや浴室、洗面所やトイレ、給湯器などの水回りについても10年間の保証が受けられます。

さらに完成後1年以内に行われる定期点検や、コールセンターのサポートもありますので、安心してリフォームを任せられるでしょう。

まとめ

大手から中小まで様々なハウスメーカーがあり、それぞれが特色のある事業を展開していますが、独自の技術力で高品質の住宅を提供する姿勢は各社で共通です。建材の加工から施工に至るまでを規格化し、業務分担の明確化や仕組みづくりを徹底することで、プランの提案からアフターケアまでの一貫対応を実現しています。

ハウスメーカーは新築住宅を扱うだけでなく、土地活用やリフォームなどの分野にも進出していて、様々なニーズに対応するように変化しています。新築からリフォームまで何世代にもわたって付き合える、それがハウスメーカーの最大の特徴ではないでしょうか。