中古住宅(既存住宅)のリフォームを検討しているのであれば、ぜひ補助金・減税制度をチェックしておきましょう。要件をクリアしていれば、通常よりもお得に施工してもらえるかもしれません。
この記事では、中古住宅のリフォーム前にチェックしておきたい補助金・減税制度や利用する際の注意点などについて紹介します。いくつもの制度があるため、ぜひ最後まで読んでみてください。
どのような補助金制度があるの?
中古住宅のリフォームでは、以下のような補助金制度が申請できます。
1.次世代住宅ポイント制度
国土交通省が行っている次世代住宅ポイント制度は、リフォーム内容に応じてポイントがもらえる制度のこと。窓の断熱化やバリアフリーリフォームなどが対象で、1ポイント1円で交換できます。
もともとは2020年3月31日までの工事分しか適用されていない制度なのですが、新型コロナウイルスの影響で期間が延長。2020年4月7日から8月31日までに契約した方であれば、こちらの制度が利用できます。
2.長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、最大300万円/戸ももらえる補助金制度。劣化対策・耐震性・省エネ性・維持管理の4つにおいて基準を超える必要がありますが、自分の家を長く大切にしていくためには全て重要なことです。
補助限度額はタイプごとで異なります。評価基準型なら100〜150万円/戸で認定長期優良住宅型は200〜250万円/戸、高度省エネルギー型であれ250〜300万円/戸です。
もし検討しているのであれば、自分がしたいリフォームがどのタイプに当てはまるのか考えてみましょう。例えば、フルリフォームで光熱費の少ない家を目指したいのであれば、高度省エネルギー型が適しています。
3.断熱リフォーム支援事業
こちらの制度は、2種類に分かれます。1つは断熱リノベであり、断熱材の改修や家庭用蓄電システムの設置などが当てはまります。上限額は一軒家の場合に120万円/戸、集合住宅で15万円/戸。ただし、一軒家で窓のみの改修であれば40万円/戸が上限です。
もう1つは次世代建材であり、短工期で施工できる高断熱パネルや潜熱蓄熱建材を用いる場合に使える制度。補助金の上限額は一軒家の場合200万円/戸で、集合住宅の場合は125万円/戸です。なお、具体的な次世代建材としてはLIXIL株式会社の「ココエコ」やYKK AP株式会社の「イノベスト D70」などが当てはまります。
4.ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)補助金
ZEH補助金は、エネルギー収支が0となるような省エネ性能の高い家を目指すリフォームに対して補助金を交付する制度のこと。要件は、「所有者が自ら住居している戸建て専用住宅であること」と「登録されているZEHプランナーもしくはビルダーが、建築・設計・改修・販売を行うZEHであること」の2つです。
ZEH補助金はZEH・ZEH+・ZEN+R・先進的再エネ熱等導入支援事業の4つに分けられ、それぞれ補助額が異なっています。
事業名 | 補助額 |
ZEH | 定額60万円/戸 |
ZEH+ | 定額105万円/戸 |
ZEN+R | 定額115万円/戸 |
先進的再エネ熱等導入支援事業 | 最大90万円 (ZEHまたはZEH+との併用可能) |
各事業によって細かな要件が設けられているため、この制度を利用したい場合はきちんと情報をチェックしておきましょう。
5.エネファーム設置補助金
もし家庭用燃料電池システムであるエネファームを設置しようと思っているのであれば、エネファーム設置補助金の利用を検討してみましょう。定額補助は最大4万円/台で、LPガス対応や寒冷地仕様などの項目に当てはまっていれば、それぞれ3万円/台が追加されます。なお、この追加補助は重複加算が可能です。
各自治体が設けている補助金制度
補助金制度の中には、各自治体が設けている制度もあります。ここでは、札幌市や鶴岡市などの制度をピックアップして紹介します。
1.リノベーション推進事業補助金(福岡県)
福岡県では、リノベーション推進事業補助金という制度を設けています。この制度は「流通型子育てリノベーション」「流通型近居・同居リノベーション」「持家型同居リノベーション」の3つに分かれており、それぞれ補助金限度額が異なります。
種類 | 補助率 | 補助金限度額 |
流通型子育てリノベーション | 3分の1 | 25万円 |
流通型近居・同居リノベーション | 3分の1 | 最大40万円 子育て対応改修 25万円 高齢化対応改修 15万円 |
持家型同居リノベーション | 3分の1 | 25万円 |
この制度の適用期間は、2016年から2021年まで。受付自体は2020年4月1日から行っていますが、予算がなくなり次第終了します。
2.札幌市住宅エコリフォーム補助制度
札幌市に住んでいるのであれば、住宅エコリフォーム補助制度を利用してみましょう。札幌市内に主要となる営業所がある業者に省エネ改修やバリアフリー改修をしてもらうことで、費用の一部を補助してくれます。
申請方法に関しては、新型コロナウイルスの影響で原則郵送提出(消印有効)となっています。補助金交付申請書や工事見積書の写し、工事箇所の写真など必要なものを用意した上で送りましょう。申請書類の不備・不足があると、通常よりも審査に時間がかかってしまいます。
3.鶴岡市住宅リフォ-ム支援事業
山形県鶴岡市の住宅リフォ-ム支援事業は、一般世帯リフォームと移住世帯リフォームの2種類に分かれます。
一般世帯リフォームの場合は、補助率10%で上限額が20万円。移住世帯リフォームは、補助率20%で上限額30万円です。もし鶴岡産の木材を使用したり空き家を活用したリフォームをしたりすれば、補助率と上限額が優遇されます(補助率は最大55%、上限額は最大200万円)。
なお、三世代世帯のリフォームでは寒さ対策や断熱化も要件工事として含まれています。既に着工している工事や完了している工事は対象外ですので、必ずリフォーム前に申請しておきましょう。
4.さいたま市「スマートホーム推進・創って減らす」機器設置補助金
さいたま市が行う補助金制度は、種類によって補助金額が異なっています。例えば、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の場合は5,000円で、太陽光発電の場合は3〜5万円補助してもらえます。
もしこの制度を利用したいのであれば。予算額に注意しましょう。2020度の予算額 は9,500万円ですが、100万円を下回った場合は抽選で受け付ける申請書が決まります。
5.函館市いきいき住まいリフォーム助成事業
函館市が行う助成事業は、バリアフリー化や断熱化、耐震化の改修工事に対して、その費用の一部を補助してくれます。補助率と補助限度額は、以下のとおりです。
バリアフリー化・断熱化:基準額の合計の20%以内・限度額20万円
耐震化:耐震改修に要する工事費(消費税相当額を除く)の20%以内・補助限度額40万円
なお、事業者に関しては函館市内に本店がある業者か改修工事を行いたい家を建築した業者である必要があります。この点にも注意して、申請するかどうか検討してみましょう。
6.環境配慮型住宅助成金(長野県)
長野県が行っている環境配慮型住宅助成金は、木造住宅の新築や省エネルギー化リフォームなどに対して、その費用の一部を補助してくれる制度です。リフォームの場合は、工事費の最大20%までで最大50万円を助成してくれます。
対象工事は省エネルギー化以外に、バリアフリー化や長野県産木材の使用、自然エネルギー設備の導入など。ただし、浴室と脱衣所もしくは寝室のどちらかを、必ず要件に合うリフォームをしなければならないという条件もあります。
補助金以外に減税・融資・控除制度もある!
リフォームをサポートしてくれる制度として、補助金以外にも減税や融資などがあります。一体どのような制度なのでしょうか。
1.住宅ローン減税
住宅ローンを受けて新築や増改築などを行った場合、年末のローン残高の1%を所得税から10年間控除されます。適用されるリフォーム後の住居開始日は2009年1月1日から2021年12月31日まで。もし消費税10%への増税前に新築や増改築などを行い、2019年10月1日から2020年12月31日までの間に住居し始めた場合は、13年間の控除となります。
2.フラット35
フラット35には、中古住宅の購入とリフォームをまとめて行うリフォーム一体型があります。これを利用することにより、借入金利を一定期間引き下げることが可能。工事内容や工事費に制限はなく、自由にリフォームしたい方や中古住宅の購入とリフォームをまとめて検討している方にぴったりな制度です。
3.スマート・エコハウス促進融資(京都府)
京都府が行っているスマート・エコハウス促進融資は、環境への負担が小さい次世代型住宅の普及を促すために設けられた制度。太陽光発電やエネファーム、エコキュートなどの設置が対象であり、融資期間は10年以内です。
融資を申し込みたい方は、相談した上で設備の設置工事前に取扱金融機関の窓口へ申し込みましょう。なお、特定の取扱金融機関というのは京都銀行・京都信用金庫・京都中央信用金庫・京都北都信用金庫・関西みらい銀行・JAバンク京都です。
4.バリアフリー特定改修工事特別控除制度
この制度は、高齢者や要介護・要支援認定者、障がい者もしくはそれらの人と同居する人が、所有している家をバリアフリーリフォームする場合に使える制度。浴室の改良や手すりの設置、段差解消といった一定のリフォームをする場合に、控除対象限度額を上限として10%の控除が受けられます。
バリアフリー特定改修工事特別控除制度の注意点としては、日程次第で金額が異なります。例として工事費の要件の場合、住居開始日が2014年3月31日までの場合は対象となるバリアフリー改修工事費用から補助金などを控除した額が30万円を超えることとされています。それ以降は金額が変わって50万円になっているため、このような部分に注意しながら申請を検討してみましょう。
補助金・減税制度を利用する際の注意点
ここまで補助金・減税制度について紹介しましたが、利用する際には注意点があります。自分のミスで申請が通らないことを防ぐためにも、こちらの項目もぜひ読んでみてください。
リフォーム前に申請を
基本的にどの制度も、リフォーム前に申請しなければなりません。仮申請からの本申請という流れを設けているケースもありますが、どちらにしてもリフォーム前にしておきましょう。
必ず条件を確認しておく
ここまで読んだ方なら分かると思いますが、どの制度にも条件が設けられています。例としては、その都市の業者にリフォームしてもらう必要があったり補助金に上限があったりなど。条件をクリアできていなければ申請が通らないため、必ずどのような条件なのかチェックしておきましょう。
状況次第では行われないことも
どの制度もリフォーム前なら申請できるというわけではなく、時期によっては行われないこともあります。きちんと間に合わせるためにも、補助金をもらいたいのであれば制度のスケジュールに合わせてリフォームを進めてみましょう。
また、申請した人が多ければ抽選によって決められることもあります。上記で紹介した札幌市住宅エコリフォーム補助制度の場合、申請総額が予定額に達してしまうと抽選で決められます。
補助金はリフォーム完了後にもらえる
補助金は申請してすぐもらえるわけではなく、リフォーム完了後にもらいます。補助金額は工事費用や内容によって変わってしまうため、完了後に契約との食い違いがないか確認しておきましょう。
制度に詳しい業者を探してみよう
リフォーム業者は数多くありますが、探す際には補助金制度に詳しい業者にしましょう。詳しければ、あなたの申請をサポートしてくれるかもしれません。また、どのような工事であれば補助金が受け取れるのかといったことも、きちんと知識がある業者であれば把握しています。
もちろん、それ以外に費用や実績なども確認しておきましょう。あまりにも安すぎるところや高すぎるところは悪徳業者である可能性が高いため、注意が必要です。業者によっては、過去の施工をサンプルとして見せてくれる場合もあります。
補助金・減税制度を利用してリフォームしよう
今回は、中古住宅リフォームの主な補助金・減税制度や注意点などについて紹介しました。制度自体はさまざまありますが、どれも条件や補助金額が異なっています。ですので、これからリフォームを検討している方はしっかりと制度内容を読んだ上で検討してみてください。