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台風の被害で屋根が損傷!修理の費用相場と火災保険の申請方法解説

強い風で屋根材や棟板金が飛ばされてしまうなど台風で被る被害はかなり多いです。もし、屋根に損害を受けてしまったらどんな対処をすればいいか、わからない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そんな疑問に応えるべく、今回は台風被害による屋根の修理方法や費用相場、修理費用の負担を軽減できる火災保険についてご紹介していきます。

台風で屋根が壊れてしまった!修理方法別:費用相場と修理方法

崩れた屋根の画像

台風によって屋根が損傷した場合、修理する費用や工期について工事の種類ごとに記載しました。

また、補修工事全般に言えることですが、修理する量が少ないと一式工事としてみなされる可能性があります。

一式工事となる理由は、修理する量が少ないのにm単価やカ所ずつの単価で引き受けてしまうと業者が赤字になってしまうからです。

さらに屋根工事は高所作業のため足場の設置が必要になることも考慮しておきましょう。

棟板金の損傷:修理方法と費用相場

棟板金の画像
工事費用約5,000円/m
m数が少ない場合:約2~3万円/式
※足場の設置が必要な場合:約10~25万円
工期約1日〜3日

台風被害の中でも棟板金が飛ばされてしまう事例はとても多いです。棟板金とは屋根の頭頂部や角になっているところに設けられている金属部材です。

1~4mくらいの交換は一式工事としてみることもあり、約2~3万円の工事費用が掛かります。また、m単価の場合は、約5,000円/mが相場となっています。

工事日数は足場を設置しない場合は約1日、足場を設置する場合は約2日かかります。

屋根材の割れや剥がれ:修理方法と費用相場

落ちた屋根材の画像
工事費用屋根材差し替え:約5,000円/枚
屋根材差し替え(量が少ない場合):約1~3万円/式
コーキング補修:約700〜1,200円/m
コーキング補修(量が少ない場合):約1〜3万円/式
※屋根材がスレートの場合
※足場の設置が必要な場合:約10~25万円
工期約1日〜3日

「一枚だけ屋根材が割れてしまった」「数枚屋根材が飛ばされてしまった」というケースも台風にはよくある被害です。

屋根材は部分的に交換することができます。枚数単価だと約5,000円/枚、修理する範囲が狭いと一式工事となり、約1〜3万円/式が費用相場です。

屋根材が割れてしまった時の修理はコーキングを使用し、費用相場は約700〜900円/mです。修理する量が少ない場合は約1〜2万円/式の費用が相場となっています。

屋根材差し替え種類別:費用相場

種類別屋根材差し替え費用
スレート約5,000円/枚
ガルバリウム部分交換不可
アスファルトシングル約8,000円/枚
約5,000円〜/箇所 
約1.8万円〜/式
瓦のズレ直し:約7,000円/㎡〜

屋根材の種類については以下にポイントをまとめましたのでご覧ください。

【屋根材の種類と特徴】

  • スレート:多く普及。セメントを使用した薄く軽い板状の屋根材。
  • ガルバリウム:アルミニウムと亜鉛を化合した鋼板製の屋根材。サビに強い。
  • アスファルトシングル:アスファルト繊維に天然石などで装飾した屋根材。
  • 瓦:日本瓦、セメント瓦、洋瓦など種類がある。粘土やセメントを材料に作られる。

屋根材の差し替えで注意していただきたいのが、ガルバリウム製の屋根材は部分的に張替えができない可能性が高いということです。

引用:ニチハ株式会社内外装建材カタログhttps://www.nichiha.co.jp/catalog/catalog_mi.html

他の屋根材が一枚90cmくらいに対して、ガルバリウム製の屋根材の長さは3mほどあり、屋根材が重なるところは鉤状に組み合わさる構造となっています。

この構造から一枚だけ抜き取ることは困難なため、ガルバリウム製の屋根材を差し替えることは基本的に難しいかもしれません。

雨樋の損傷:修理方法と費用相場

雨樋の画像
工事費用約3,000〜5,000/m
修理するm数が少ない場合:約2.5〜4万円/式
※足場の設置が必要な場合:約10~25万円
工期約1日〜3日

雨樋は部材ごとに組み合わさって構成されているため、台風の強い風に煽られると接合部のズレや雨樋自体の破損が起こる可能性があります。

雨樋の損傷を修理する場合、接合部のズレは接着剤で簡単に直すことができます。雨樋の部材が損傷している場合は、部材の交換が必要になり、元々の雨樋と同型のものを使います。

もし、元々の雨樋に合う部材が生産中止などで無い場合は、雨樋全体を交換しなければいけない可能性があるので注意が必要です。

目安は雨樋が発売されて10年以上経っていると部材が残っていない可能性が高いでしょう。

雪止めの損傷:修理方法と費用相場

雪止めの画像
工事費用雪止め交換:約1,200円/m
修理するm数が少ない場合:約1〜3万円/式
雪止め瓦:約1,000〜3,000円/枚
※足場の設置が必要な場合:約10~25万円
工期約1日〜3日

雪止めは屋根に積もった雪が滑り落ちてこないように設けている部材です。台風の強い風で雪止めが曲がってしまったり、飛ばされてしまったりすることがあります。

雪止めはm単価だと約1,200円/mで交換できます。修理自体はそこまで工事規模が大きくないので、工期は1〜2日、修理カ所が多い場合は3日ほどです。

瓦屋根の漆喰の損傷:修理方法と費用相場

瓦の漆喰の画像
工事費用約2,000〜3,000円/m
修理するm数が少ない場合:約2.5万円/式
※足場の設置が必要な場合:約10~25万円
工期約1日〜3日
※棟の積み直し:約1日〜3日

瓦屋根の漆喰は棟の接合と内部にある土が流れないように塗り込まれています。

年数が経つと劣化し、漆喰が落ちてしまうため、台風のような強い風や雨に打たれると棟瓦が崩れてしまったり、内部の土が流れてしまったりします。

漆喰の損傷修理は約2,000〜3,000円/m、修理する量が少ない場合は一式工事となりますので注意しましょう。

雨漏り:修理方法と費用相場

屋根からの雨漏り
工事費用屋根の葺き替え:約60〜200万円
サイディング外壁目地コーキングの場合:約10〜50万円
コーキング補修:約700~1200円/m
コーキング補修(増し打ち):500〜1,000円/m
コーキング補修(量が少ない場合):約1〜3万円/式
工期約1日間〜
屋根の葺き替えの場合:約10〜14日間

雨漏り修理が難しいのは、どこから雨漏りしているのか特定するのが困難だからです。屋根はもちろん外壁や軒、サッシなどわずかな隙間でも雨は入ってきます。

また、水の侵入経路は多岐に渡り、真上から水が流れてきているとは限らないからです。隙間を埋めるだけで雨漏りを直せることは稀ですが、コーキングを充填して止まることもあります。

しかし、コーキングが劣化してしまえば再度雨漏りが起きてしまいますので、最終的に水が侵入してこない対策をする必要があるでしょう。

屋根の雨漏りを完全に止める場合は、費用は掛かりますが屋根の葺き替えを行うのが確実です。

雨漏りの対処方法

水で濡れているブルーシートの画像

雨漏りが起きた時は床が濡れないようにビニールシートやタライを置いて対処します。

壁から染み込んでくる場合は水気を拭き取ること、壁が濡れた状態を長時間放置するとカビが発生するので注意しましょう。

屋根にビニールシートを被せる方法もありますが、これは一般の方におすすめできない方法です。屋根の上は滑りやすいですし、万が一落下してしまうと怪我どころか命を落としてしまう危険があります。

屋根の処置は専門業者に依頼して対処してもらいましょう。懇意にしている業者がいる場合は、連絡すればすぐに駆けつけて応急処置を約1万円以内の費用でしてくれることもあります。

雨漏り調査の費用相場

調査内容費用
目視
無料(30分ほどの調査)
散水調査約5〜35万円
発光液約5〜25万円
サーモグラフィー(赤外線調査)約10〜50万円
内部確認約5〜15万円
日数半日〜3日

雨漏り調査費用は20万円前後が一般的です。サーモグラフィーは家内部の熱を調べることができます。

水が通った場所は他のところよりも温度が低くなっていますので、水の侵入口がわかり雨漏り箇所が特定できます。

発光液は紫外線に反応して発光する特殊な液体で、散布して水の侵入口を特定します。内部確認は屋根裏に侵入して雨漏りを見つける調査方法となっています。

台風で屋根が飛んでしまい損傷を与えてしまった時の対処方法

破損した屋根の画像

台風で屋根や棟板金が飛んでしまい、近所の家に損害を与えてしまったという事例もあります。損害を与えてしまった場合、賠償責任を負うかどうかは被害が起きる前の状況によります。

民法第717条「工作物責任」には、自分の家またはカーポートなどに瑕疵がある場合、損害に対して責任を負わなければいけません。

瑕疵というのはわかりやすく言うと欠陥です。建物の欠陥や保存に問題があり、家の持ち主が問題に気付いていても対処していない場合、損害を与えてしまった人に賠償責任をしなければいけません。

しかし、台風は自然災害ですから保存の問題や瑕疵が実証できるかが焦点になってきます。特に問題が無い場合は、賠償責任を負わずに済むこともあります。

この場合、損害を受けた人は自分が加入している火災保険など利用して修理を行うことになります。賠償責任を負うかどうかは建物の保存方法や瑕疵によって変わりますが、近隣トラブルにもつながるので、火災保険の賠償責任特約を付けるなど対策をしておいた方がいいでしょう。

台風被害にあった屋根は火災保険で修理できる

保険のイメージ画像

台風被害によって屋根が損傷してしまった時は、火災保険で修理することができます。

修理費用の負担を減らすことができますので、ぜひ利用してみましょう。

台風被害時に屋根の修理ができる火災保険とは

火災保険は火災はもちろん風災や雹災、雪災、落雷などに対応します。保険によって補償範囲は異なり、水災などはオプション扱いになっているケースが多いです。

保険を利用する場合は、現在加入している保険がどこまで補償してくれるか確認しておきましょう。台風被害は火災保険だと風災に当たります。

このことから、台風によって屋根に損害が出たら火災保険を利用して修理できるということです。

火災保険を利用する際の流れ

火災保険を利用する流れについてお伝えしていきます。

一般的な流れは以下のように進んでいきます。

  1. 工務店やリフォーム業者などの専門業者に連絡・調査
  2. 加入している保険会社に連絡・必要な書類を送ってもらう
  3. 保険会社の損害保険鑑定人が損傷状態を確認
  4. 必要書類を記入し保険会社に提出
  5. 保険金額の決定および入金
  6. 工事業者との契約および工事開始

時期にもよりますが、工事開始まで1ヶ月〜3ヶ月ほどの期間が必要です。

火災保険を利用する際の書類

提出書類は以下のものになります。

  • 保険請求書
  • 事故内容報告書・罹災証明書
  • 修理見積書
  • その他(必要に応じて印鑑証明書、建物登記謄本など)

事故内容報告書や罹災証明書には現場写真を添付する事が多いので、調査してもらう業者に頼んで写真を撮ってもらいましょう。

また、見積もりは一式とせずに、工事工程や材料など単価と数量を一つ一つ分けて細かく記載してもらうことが大切です。

台風被害で損傷した屋根を修理する業者の選び方

火災保険のトラブルは多く、保険金を受け取る前に工事をしてしまい、最終的に保険金が支払われず工事代金を全額負担したというケースがあります。

業者との契約は、保険金額が決定し入金するまでしてはいけません。また、業者の「火災保険を利用すれば無料で工事ができる」「自己負担ゼロで工事ができます」など甘い言葉に注意しましょう。

業者を選ぶ時は以下のポイントを押さえて業者を選びましょう。

  • 数量や単価など見積もりが細かく記載されている
  • 不明点や工事のやり方などを具体的に説明してくれる
  • 火災保険と工事の実績がある
  • 会社のホームページがある
  • 施工事例が豊富
  • 契約を急かさない

以上が優良な業者の特徴です。

また、見積もりは工事内容や費用の比較ができるように相見積もりを取りましょう。

まとめ

毎年のように台風は発生していますので、屋根に損害を受けてしまったことを想定して対処方法を覚えておきましょう。

火災保険に加入していれば修理費用の負担を軽減することができます。高額になりやすい屋根の修理だからこそ、火災保険を利用して自己負担する費用を減らしましょう。