外壁塗装・外壁

樹脂サイディングの5つの特徴をわかりやすく解説

外壁のリフォームといえば、サイディング系外壁にすることが主流になっています。サイディング系外壁にはいくつか種類がありますが、一部で人気なのは樹脂サイディングです。

おそらく、あなたも樹脂サイディングの噂を聞きつけて、リフォームしてみようと考えているのではないでしょうか。しかし、樹脂サイディングの詳細がわからず、判断に迷っていることかと思います。

本記事では樹脂サイディングの基本を解説していきます。記事を読むだけで樹脂サイディングのすべてがわかるので、参考にしてみてください。

樹脂サイディングは海外ではメジャーな外壁

樹脂サイディングは海外ではメジャーな外壁として知られています。いっぽうで、日本での施工例は数が少ないのが現状です。日本の樹脂サイディングのシェア率は1%~2%といわれています。

ただし、樹脂サイディングが日本の住宅に不向きな外壁というわけではありません。シェア率が低いのは他の外壁より知名度がないこと、取り扱い業者が少ないことが要因です。

樹脂サイディングには他の外壁に負けない多くの利点があるので、近隣に取り扱い業者があれば外壁の有力なリフォームプランとなります。

樹脂サイディングが採用される理由

外壁に樹脂サイディングが選ばれるのには、いくつかの理由があります。詳しくは以下を参考にしてください。

防火性能が高い

樹脂サイディングが選ばれる理由の1つが防火性能の高さです。元の素材である塩化ビニールは燃えにくい性質を持っており、火災のリスクを大きく減らせます。

細かな数値でいえば、塩化ビニールの燃焼が始まるのは450℃前後です。木材だと200℃~250℃あたりで燃焼するため、防火性能の高さがわかります。もちろん、絶対に燃えないわけではありませんが、生活に安心感が生まれます。

住宅の防火・防災を意識している人は、樹脂サイディングの採用を検討してみるといいでしょう。

ヒビが入りにくい

樹脂サイディングは耐久性が強く、ヒビが入りにくいのも特徴です。強風などによって破片が飛んできても、少々の衝撃なら耐えることができます。

耐久性が強いだけに、補修などのメンテナンスをする回数が他の外壁よりも少なくて済みます。定期的な手間と費用を抑えることが可能です。

先に解説したとおり防火性能も高いため、住宅の強度を求めているなら最適な建材といえます。

色落ちしづらい

樹脂サイディングは色落ちしづらい特徴も持っています。通常の外壁であれば経年劣化により、表面の塗料が変色していくのが当たり前です。樹脂サイディングは素材自体に顔料が含まれているため、時間が経っても色落ちしづらい性質があります。

ただし、雨風による汚れの付着までは防ぐことができません。代わりに定期的な清掃さえ怠らなければ、いつまでも新築のようなキレイな外観を維持することができます。

外壁の経年劣化が気になる人は、樹脂サイディングがベストなリフォームプランとなるでしょう。

寒さに強い

樹脂サイディングは寒さに強いことも特徴です。寒冷地では気温の低下により、塗装やシーリングを行った外壁は水分が凍結して割れてしまうことがあります。一度割れてしまうと、外壁の強度が格段に落ちるので、定期的に補修しなければなりません。

樹脂サイディングは水分が含まれていないほか、湿気を吸収しないため、凍結する恐れがありません。カナダなどの冬の寒さが厳しい国では、樹脂サイディングがスタンダードになりつつあります。

お住まいが寒冷地という人は、樹脂サイディングが心強い味方となってくれるはずです。

建材としては軽量

樹脂サイディングは建材のなかでも軽いことで知られています。素材が塩化ビニールのため、金属や木材に比べるとかなり軽いです。重量が軽いと、住宅全体にかかる負荷が軽減される利点があります。

たとえば、既存の壁の上から貼ることが可能です。元の壁を撤去せずにリフォームできるため、施工費用を安く抑えることができます。軽量のため、運搬の人員が少なく済むのも特徴です。

元の壁の状態によっては上から貼ることができないこともありますが、リフォーム予算を気にしている人は検討する価値があるでしょう。

樹脂サイディングの施工費用

樹脂サイディングの施工費用は住宅規模によって大きく変動します。一般的な規模の住宅であれば、150万~200万が最低額といったところです。予算に余裕を持たせておくには300万は用意したほうがいいでしょう。

以下では、樹脂サイディングの相場をわかりやすくするために、他のサイディング系外壁との費用比較を紹介します。

外壁の種類 材料費の相場(1㎡)
樹脂サイディング8,000~10,000円
窯業系サイディング 4,000~5,000円
金属系サイディング 3,000~7,000円
木質系サイディング 6,000~10,000円

上記が他のサイディング外壁との比較です。表をみればわかるとおり、樹脂サイディングの相場は他の外壁よりも高額になります。リフォーム費用の総額を考えれば、大きな住宅には不向きといえそうです。

樹脂サイディングの施工日数

樹脂サイディングの施工日数は他の外壁リフォームと大差ありません。具体的には以下のとおりです。

作業内容日数
足場の設置・撤去1日~2日
下地処理2日~3日
樹脂サイディングの貼り付け2日~4日
細部の仕上げ1日~2日

上記が樹脂サイディングの施工日数です。早ければ1週間程度で終わります。施工面積が広いときや、雨天を挟んだときは10日以上かかることがあります。急なトラブルに備えて、施工を行う前後数日は予定を空けておいたほうがいいでしょう。

樹脂サイディングの注意点

樹脂サイディングを採用する利点は多いですが、同時に注意点もあります。詳しくは以下を参考にしてください。

対応している業者が少ない

樹脂サイディングの最大の注意点は対応している業者が少ないことです。樹脂サイディングの外壁へのリフォームを決断しても、近隣の業者では対応できないことが多々あります。

業者によっては遠方に職人を派遣してもらうこともできますが、事前の相談や現場調査に時間がかかります。職人の遠征費用も施工費に含まれるため、総額費用は相場をはるかに超えるでしょう。

近場に対応業者がない場合は、現実的なリフォームといえないのが樹脂サイディングです。

選べるデザインが少ない

樹脂サイディングは、他のサイディング系外壁よりデザインの幅が少ないことが欠点です。日本ではまだ馴染みの少ない建材のため、対応業者も単一的な製品しか扱っていないことがあります。

とくに柄のある樹脂サイディングはほとんど取り扱いがないのが現状です。窯業系や金属系サイディングは多様な柄がありますが、樹脂サイディングは選べても色のみとなるでしょう。

外観に遊び心がほしいと考えている人にとっては、樹脂サイディングは少し物足りない可能性があります。

樹脂サイディングの主要メーカー

樹脂サイディングのイメージをつかむには各メーカーからパンフレットなどを取り寄せるのがおすすめです。以下では国内外の樹脂サイディングの主要メーカーを紹介するので、参考にしてみてください。

ゼオン化成

ゼオン化成は日本で樹脂サイディングを製造している数少ないメーカーです。ゼオン化成では樹脂サイディングを「ゼオンサイディング®」という商品名で提供しており、品質にも定評があります。

ゼオンサイディング®の特徴は樹脂サイディング本来の耐久力はもちろん、薬品の侵食に強い点です。近場に畑や工場がある場合は、農薬や排煙の影響で変色することがあります。ゼオンサイディング®は自社の実験により、薬品による変色の強さを証明しているので安心です。

詳しい情報はゼオン化成公式サイトに掲載されているので、気になる人はチェックしてみてください。

旭トステム外装

旭トステム外装は外壁・屋根の建材をメインに製造している国内メーカーです。提供している商品のなかには樹脂サイディングも含まれています。

旭トステム外装 の樹脂サイディングの特徴はカラーバリエーションが豊富なことです。 淡い色味を中心にした「オレゴンプライド」シリーズ、濃い色が中心の「グランドリバー」シリーズがあります。

サイディングの欠点であるデザイン性のなさを補ってくれので、樹脂サイディングでオシャレな外観にしたい人におすすめです。

PLY-GEM

PLY-GEMはアメリカの樹脂製品メーカーです。主力商品に樹脂サイディングも含まれており、日本では輸入建材店で取り扱いがあります。主な特徴は耐久力の強さです。

PLY-GEMの樹脂サイディングは本来はアメリカ、カナダ向けに開発されています。両国とも過酷な環境の地域が多いため、強度には関しては折り紙付きです。

日本の場合は地震や台風などの自然災害が多いため、軽くて丈夫なPLY-GEMの製品と相性がいいといえます。

樹脂サイディングがイメージに合わないときは

記事を読んでいる人のなかには、樹脂サイディングの特徴がイメージと合わないと感じた人もいるでしょう。以下では、樹脂サイディングに代わる外壁の種類を紹介していきます。

金属系サイディング

樹脂サイディングと同じサイディング系の外壁なら、金属系サイディングが人気です。名前のとおり金属の外壁材を張り付けることになります。金属と聞くとメンテナンスが面倒なイメージがありますが、金属系サイディングは手入れがラクなのが特徴です。

たとえば、表面をフッ素加工しており、サビや色落ちに強い商品が多くあります。地震や大型車が通ったときの振動にも強く、ヒビが入りにくいのも魅力です。

デザインも豊富にあるので、オシャレな外観と機能性を両立するならベストな選択といえます。

窯業系サイディング

幅広い選択肢を求めるなら窯業系サイディングもおすすめです。窯業系サイディングは、サイディング外壁のなかで国内シェアが1位です。各メーカーから多数の商品が発売されており、価格帯からデザインまで柔軟に選ぶことができます。

施工業者も窯業系サイディングに慣れていることが多いので、施工不良などのリスクも少ないです。業者に外壁のリフォームを相談すれば、必ず1回は窯業系サイディングを提案されることでしょう。

欠点はメンテナンス費用が高いことです。窯業系サイディングは隙間を埋めるためにシーリング材を使います。シーリング材が劣化すると、1棟あたり15万前後の交換費用がかかるため注意が必要です。

モルタル外壁

サイディング系の外壁以外ではモルタル外壁が有力な候補です。昨今の新築住宅にはあまり見られない外壁ですが、以前は広く採用されていました。住宅が落ち着いた雰囲気になるのがモルタル外壁の特徴です。

モルタル外壁は仕上げ方法にいくつか種類があり、デザインのバリエーションを選びやすい魅力もあります。

樹脂サイディングのデザイン性が不満なときは、代替案としてモルタル外壁を検討するといいでしょう。

別々の外壁を組み合わせる例もある

住宅の構造によっては別々の外壁を組み合わせることもあります。たとえば、車庫に近い面だけをモルタル外壁にすることです。モルタル外壁は防音性能が高いため、車の音が気にならないように一面だけ採用されることがあります。

人目に触れやすい面はオシャレなサイディング系にすれば、機能性とデザインを両立させることが可能です。元からある外壁の一部を残して、他の部分は別の外形に変えるパターンもあります。

ただ、面によって外壁の種類を変えるのは通常よりも費用が高くなる可能性があります。手間も大きいため、理由がなければ通常の外壁リフォームを行ったほうがいいでしょう。

樹脂サイディングは耐久性がほしい人向け

樹脂サイディングの特徴を解説してきました。樹脂サイディングは燃えにくい性質を持っており、耐久性が自慢の外壁です。火事や災害に備えたいのであれば、最適な外壁といえます。

いっぽうで、樹脂サイディングはデザインの幅が少ないのが欠点です。オシャレな外壁にしたい!という人は、他の外壁を検討してみる必要があります。