外壁塗装・外壁

すぐにわかるリシン吹き付けの基礎知識とモルタル外壁の仕上げ方法

モルタル外壁は経年と共に劣化が隠せなくなります。業者に補修を依頼すれば、必ずといっていいほど、リシン吹き付けによる再塗装を提案をされることでしょう。

しかし、リシン吹き付けの詳細がわからず、補修を即決できないこともあります。リシン吹き付けは名前だけでは、仕上がりがまったくイメージできないので当然です。

本記事ではリシン吹き付けの詳細を解説していきます。具体的な費用や代替案も解説しているので、参考にしてみてください。

リシン吹き付けはモルタル外壁の仕上げ

リシン吹き付けは基本的にモルタル外壁の仕上げとして行われる工法です。塗料に骨材と呼ばれる細かな砂や石を混ぜたものを、専用の工具で吹き付けます。表面に細かな凹凸ができ、ザラザラとした手触りになるのが特徴です。

リシンはモルタル外壁の仕上げとしては主流なので、街を歩けば目にする機会が多くあります。意識してみれば実物のイメージが思い出せる人もいるはずです。

需要が多いので、業者も補修を相談されたときはリシン吹き付けから提案することがよくあります。

リシン吹き付けを行う理由

リシン吹き付けはモルタル外壁の塗り直しで提案されることも多い仕上げ方法です。以下では、リシン吹き付けが採用される理由を解説していきます。

塗膜の劣化を抑える

リシン吹き付けを行う主な理由は塗膜の劣化を抑えることです。塗膜とはモルタルの下塗り塗料が皮状に膜を張ったものを指します。塗膜にはモルタルを雨水から守る役目があります。

塗膜が破れると、モルタル内部に雨水が侵入し、一気に劣化してしまう原因となります。雨水で劣化したモルタルは簡単に直すことができません。場合によっては1からモルタルを塗り直すことになります。モルタルを塗り直すには大きな手間と費用が必要です。

リシンがあれば塗膜へのダメージが最小限に抑えられ、モルタルの寿命を大きく伸ばすことができます。

外観を落ち着いた印象にさせる

リシン吹き付けを行うと外壁を落ち着いた印象にすることができます。リシンの表面は細かな凹凸が無数にあるため、光を反射しません。外壁に余計なテカリが生まれないので、安っぽさが消えて高級感が生まれます。

とくに高齢者住まいの住宅では、リシンの質感が派手過ぎずちょうどいいと気に入られることが多いです。子供が触ってもケガをしにくい特徴もあります。

人を選ばずに馴染むことができるのが、リシン吹き付けの魅力といえます。

工期が早い

モルタル外壁の仕上げにリシン吹き付けが採用されるのは、工期が早い点も大きな理由です。一般的な住宅の外壁であれば、足場の設置を含めて1週間程度で終えることができます。

他の仕上げ方法だと、10日以上かかることも珍しくありません。施工期間中は生活に支障も出るため、工期の短いリシンが選ばれやすくなっています。

長い工期が苦痛な人にとっては、リモルタル外壁の仕上げとしてリシン吹き付けが最も適しています。

外壁の仕上げとしては安価

リシン吹き付けは、モルタル外壁の仕上げのなかでは安価なことも人気の理由です。具体的な費用は以下のとおりです。

作業内容費用相場(30㎡)
リシン吹き付け30,000~60,000円
スタッコ60,000~75,000円
足場設置 30,000~150,000円

上記がリシン吹き付けを行うときの費用相場です。リシンは塗料のグレードによって単価が変わるため、相場の幅は広くなっています。しかし、モルタル外壁の仕上げの1つであるスタッコと比較してみても、リシンのほうが安価です。

単純に費用を安く抑えたいのであれば、リシン吹き付けが理想的といえます。

リシン吹き付けの欠点

リシン吹き付けは利点が多い反面、欠点もあります。具体的な内容は以下を参考にしてください。

凹凸に汚れがつきやすい

リシン吹き付けの欠点は表面の凹凸に汚れが付着しやすいことです。ザラザラした質感はモルタル外壁に高級感を生み出しますが、雨風でホコリや泥がすぐに溜まります。気がついたときには水で流せないほど、汚れが凝固していることが珍しくありません。

汚れは黒く目立って見栄えが悪くなるほか、外壁全体の印象を暗くしてしまいます。来客が多く、人目に触れやすい立地の住居では禁物です。

リシンによる仕上げを行うのであれば、短いスパンでの点検を覚悟しておいたほうがいいでしょう。

ヒビが生じやすい

リシン吹き付けはヒビが生じやすいことも欠点です。リシンを吹き付けるモルタルは気温や湿気で伸縮します。リシンはモルタルの伸縮についていけるほどの弾力がないため、自然とヒビが入ってしまうのです。

ヒビの入ったリシンを放置しておくと、 雨水が侵入し、広範囲が一気に劣化する原因となります。仕上げ方法としてリシン吹き付けにこだわる場合は、定期的な再塗装が避けられません。

施工費用は安いものの、長期的に見ればコスパが悪いのがリシン吹き付けといえます。

リシン吹き付けの耐用年数

リシン吹き付けの耐用年数は一般的に5年~7年です。メーカーの製品によっても多少は違いますが、長くても8年が限度となります。モルタル外壁の仕上げのなかでは耐用年数が短い部類です。

原因は先にも解説したとおり、汚れがつきやすいことと、ヒビ割れのしやすさです。普段、とくに手入れをしていなければ、ヒビ割れた個所に汚れが溜まり、黒く目立っていることもあります。

リシン吹き付けをキレイに維持するには、耐用年数内でも短いスパンで点検をすることが大事です。

リシンのメンテナンス方法

リシンはメンテナンス方法は症状によって違います。具体的には以下のとおりです。

症状メンテナンス方法
ヒビ割れヒビにシーリング材を補填
チョーキング再塗装
カビ汚れ高圧洗浄

上記がリシンの症状別のメンテナンス方法です。リシンは施工費用は安いものの、耐久性に難があります。とくにヒビ割れは頻繁に起きやすいので、メンテナンスのたびにシーリング材の費用が必要です。

チョーキングは塗装が落ちる現象のことですが、部分的に再塗装をするだけなので費用は差ほどかかりません。カビ汚れも高圧洗浄で流せば元通りになります。

ただし、同時にヒビ割れが起きている場合は先に補修が必要なので注意が必要です。経年劣化によってヒビ割れが多くなれば、メンテナンス性が格段に悪くなるのもリシンの欠点といえます。

弾性リシンを使うという手もある

リシンのなかには弾性リシンという弾力を持った種類があります。弾力によってモルタルの伸縮についていけるため、ヒビが入りづらいのが特徴です。通常のリシンのヒビ割れが不安という人は選択肢に入ることでしょう。

ただし、弾性リシンは通常のリシンよりも高価です。塗装面積が広いと、リシン吹き付けの費用を大きく超えます。

用意できる予算に応じて検討してみてください。

リシン以外のモルタル外壁の仕上げ

記事を読んでいる人のなかには、リシン吹き付けの特徴を知って、イメージとは違うと感じた人もいることでしょう。モルタル外壁にはリシン吹き付け以外の仕上げ方法も存在します。

以下ではモルタル外壁で使われる主な仕上げ方法を解説するので、代替案として検討してみてください。

スタッコ

スタッコはセメントに骨材を混ぜた塗料を吹き付ける仕上げです。見た目はリシンに似ていますが、リシンよりも厚みがあります。凹凸も大きく、意匠性が高いのが特徴です。

リシンにもう少しデザイン性が欲しい人は、スタッコにすれば満足しやすいでしょう。ただし、リシンより多くの塗料を必要とするため、費用は高くなります。

気になる人は、リシンとスタッコの実際の施工例を見比べてみて判断してみてください。

タイル

タイルは塗料をまだらに吹き付けて、模様を描く仕上げです。 表面に塗料を何度も吹き付けて仕上げるため、複雑でキレイな意匠が出来上がります。 凹凸はありますが、骨材を混ぜないため、リシンやスタッコと違ってなめらかな手触りになります。

見栄えがいいだけではなく、防水性能が高いことも魅力です。雨風に強い外壁に仕上げることができます。外壁付近で園芸などをしているときに、外壁に水がかかっても安心です。

外壁付近の湿気や結露が気になるときは、タイルによって防水性能を高めるといいでしょう。

ジョリパット

ジョリパットは塗料に砂を混ぜた仕上げです。意匠性が高く、モルタル外壁の仕上げのなかでは最もオシャレといっても過言ではありません。

たとえば、表面に弧を描いく凹凸があったり、フローリング風の模様が描かれていたりします。技術力のある職人がいなければ施工はできませんが、実現すれば高級感のある外壁になります。

ジョリパッドは殺菌作用が強いほか、ヒビが入りづらい機能性も持ち合わせています。 値段は高額となりますが、リシンのヒビ割れが気になる人には有力な候補となるでしょう。

デザインと機能性を両立したい人は、ジョリパットでの仕上げを検討してみてください。

リシン吹き付けはコスパを考えて選択しよう

リシン吹き付けの詳細を解説してきました。リシン吹き付けはモルタル外壁の一般的な仕上げ方法です。ただし、耐久力があまりないのが欠点となります。メンテナンス費用を考えれば、コスパが良いとはいえません。

もし、リシン以外の選択肢がほしいときは、本記事で解説した代替案を振り返ってみてください。あなたの納得のいくプランが思い浮かぶはずです。