外壁はメンテナンスが面倒なため、メンテナンスフリーの外壁素材を探している方も多いかもしれません。
しかし、結論から言うと完全にメンテナンスフリーの外壁素材は存在しません。雨や風などの外部からの影響によって物理的な劣化はどうしても免れることができないからです。
ただし、長く使える外壁素材は存在します。そこで今回は、できるだけ塗装や補修といった外壁メンテナンスの手間が省ける素材を紹介します。
メンテナンスフリーの外壁は存在しない
完全にメンテナンスフリーの外壁素材は存在しません。ここではその理由と外壁が劣化する主な原因について説明していきます。
外壁にメンテナンスが必要な理由
現在の技術では、メンテナンスフリーの外壁素材は開発されていません。どれほど高耐久で長寿命の素材であっても10年~20年程度での補修や塗装が必要です。
メンテナンスフリーが実現していない理由として、外壁素材には有機成分 が含まれていることが影響しています。
有機成分は、生物が作り出す、カビの栄養となる成分であり、一般的には炭素が含まれる物質が有機成分に分類されます。一方で、無機成分とは有機成分以外を指します。
外壁素材の多くは表面に塗装するため、塗料に含まれている有機成分からカビが発生しやすいのです。また、塗装を行わないと傷や汚れへの耐性が弱まり、すぐに劣化してしまいます。
また、無機成分だけで作られた塗料は粘り気が足りず、硬すぎて塗装ができません。塗装ができたとしてもすぐにひび割れてしまい使いものにならないため、有機成分はどうしても必要となってきます。
ただし、塗装をしない外壁素材であれば無機成分のみで作ることも可能です。例としては「タイル」が当てはまります。しかし、タイル外壁であっても接着剤や目地部分は劣化していきます。このため、どうしても定期的にメンテナンスが必要なのです。
外壁が劣化する主な原因
外壁が劣化する主な原因は、以下のようなものがあります。
- 雨風による劣化
- 紫外線による劣化
- 経年劣化
雨や風が吹き付けることにより外壁の表面は劣化していきます。直接雨風が吹き付けたり、雨や風が運んでくるほこりや汚れも外壁を傷つける要因の一つです。
紫外線の影響により塗料の表面の塗膜が劣化して色あせなどが起こることがあります。一般的に、北側より南側の外壁の劣化が激しいくなります。
経年劣化により外壁に使われている材料が劣化し外壁全体が弱くなると、建物の倒壊を招く恐れもあります。経年劣化による症状は色あせ、チョーキング、クラックなど様々です。
メンテナンスフリーに近い外壁素材の種類と特徴
メンテナンスフリーの外壁素材は存在しないことについて説明してきましたが、日々の手入れがそれほど必要ない、メンテナンスフリーに近い素材であれば販売されています。
ここでは、タイルと樹脂系サイディングをご紹介します。
タイル
粘土や石を約1,300度の高温で焼いた外壁素材が「タイル」です。
タイルのメリットは、サイディングやモルタルといった他の外壁素材と比べて高耐久が高いため、長持ちしメンテナンス頻度が少なくて済む点です。タイルは傷がつきにくく汚れや水にも強いため、寿命は25〜30年程度、メンテナンス時期は7〜10年おきに目地の補修を行えばおおむね大丈夫です。
タイルのデメリットとしては、値段が高価なことが挙げられます。メンテナンス費用は安いものの、初期設置時の価格はモルタルやサイディングに比べて2〜3倍の材料費が必要です。
タイルはメンテナンスフリーに最も近い外壁素材ですが、価格が高いため予算に余裕がなければ他の素材を選ぶ必要があります。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングは、塩化ビニル樹脂で作られたサイディングボードのことを言います。サイディング素材のなかで最も耐久性が高く、費用も高額となります
樹脂系サイディングのメリットはタイルよりも費用が安い点です。サイディング素材としては高価な樹脂系サイディングですが、タイルと比較すると半額〜7割程度の費用で済むでしょう。
デメリットは工事難易度が高い点です。樹脂系サイディングは日本での実績がほとんどなく、適切な工事ができる業者がかぎられています。不得手な業者に依頼するとデザインやメンテナンスの点で本来の素材の良さを発揮できません。
樹脂系サイディングはタイルよりは安いもののそれなりの値段がするので、予算と相談しましょう。
メンテナンスフリーに近い外壁素材の費用
メンテナンスフリーに近い外壁素材は一般的に値段が高めです。ここでは、 30坪程度の住宅における外壁リフォーム価格として説明していきますので、参考にしてみてください。
タイル外壁の場合
上述のとおり、タイル外壁は値段が高めです。
30坪の住宅の外壁リフォームで 300〜500万円 程度の料金が発生します。
タイル外壁の場合は材料費が高くて手間がかかる工事のため、サイディングの2倍程度の費用が必要です。また、価格の幅が広いのは、使うタイルや住宅の構造によって単価が異なってくるためです。
樹脂系サイディングの場合
樹脂系サイディングの場合、30坪の住宅で180〜260万円程度の料金が発生します。タイルよりは安めの料金です。
樹脂系サイディングの場合、既存の外壁の種類や、張替えかカバー工法かによって数十万円価格が変動します。また、樹脂系サイディングは施工できる業者が少ないため、手間賃として工事費が10%程度増える可能性があります。
樹脂系サイディングは熟練業者に頼むことを最優先したほうが良いでしょう。
外壁素材の寿命を延ばすための対策
外壁素材の耐用年数を延ばすためには以下の2つのポイントに気を付けると良いでしょう。ポイントを守らないと本来の耐久性を発揮できずに数年で剥がれる外壁となり、費用もかさんでしまいます。
耐用年数が長い素材を選ぶ
外壁の寿命を延ばすためには、耐用年数が長い素材を選ぶことが前提となります。先ほどご紹介したように、ある程度高価であってもタイルや樹脂系サイディングを選ぶとメンテナンス頻度は少なくて済みます。
また、これらの素材は適切な業者によって工事してもらった場合長持ちしますが、未熟な業者に依頼したり、DIYで行ったりすると耐用年数は短くなるでしょう。
DIYを避け業者に頼む
外壁のリフォームをDIYで行うと素材の耐用年数が短くなります。たまに「張替えは無理でも塗装なら自分でできそうだ」と考えてDIYしてしまう人がいます。
しかし、外壁塗装は国家資格が存在するほど高度な技術を必要とする工事です。インターネット上のハウツーだけに頼ってDIYをすると、雨漏りが発生したり塗装が1年で剥がれたりといったトラブルを引き起こす可能性が高くなり、かえって余計に費用がかさんでしまいます。
簡単そうに見える工事でも、外壁リフォームをDIYで行ってはいけません。専門の業者に相談し、しっかりとプロによるメンテナンスをしてもらいましょう。
外壁メンテナンス業者の選び方
優良な業者にメンテナンスをしてもらえば、塗料の性能を最大限発揮できるため、外壁の寿命が延びやすくなります。
では、優良業者かどうかを見抜くにはどのような点をチェックしておけば良いのでしょうか。工事費用を抑えながら優良業者を探す方法としては以下の3つがあります。
- 複数業者に見積もりを取る
- 見積書が具体的かどうかを確認する
- 自社施工の会社に依頼する
複数業者に見積もりを取ることは、金額が適正かどうかを判断する上で重要であり、業者選びの基本になります。
また、見積書の工事内容やオプションサービスの料金が適正かどうかを判断するには、見積書の各項目が具体的に記載されているかどうかも見ておく必要があります。
さいごに、壁施工会社には自社で工事を行う業者と、下請けに任せる業者がいます。下請けに任せる会社の場合、工事費から仲介料を差し引くため費用が高額となってしまい、そのような会社に依頼しても依頼者にはメリットがありません。
会社のホームページに職人の画像が載っていれば自社で工事をしている可能性が高いと考えてよいでしょう。外壁の工事費用を節約したい人は自社施工の会社に依頼するようにしてください。