和室には砂壁がよく見られるのですが、経年劣化によってボロボロになることがよくあります。そのときに、和室の壁を塗装したいというケースは多いです。しかし、本当に和室の壁を塗装できるのか、どんな方法があって、どのくらいの費用がかかるのか不安になる人もいるでしょう。そこで、この記事では和室の壁の塗装について、方法や費用のことなどを詳しく解説します。
和室の壁の塗装とは
和室の壁の塗装について基本的な点を説明します。
和室の壁の塗り素材は劣化する
和室の壁といえば塗り壁が一般的です。これは砂壁や漆喰などのことであり、壁材を壁に塗ることで見た目を整えて、さまざまな機能をもたせています。どんな塗素材であっても経年劣化してしまうため、家を建ててから10年や20年経ったならば、和室の壁のメンテナンスを考えなければいけません。
塗り壁の塗り直しをするのはコストがかかる
塗り素材の劣化が見られたならば、塗り壁の塗り直しをするという選択肢があります。しかし、砂壁や漆喰の塗り直しをするには手間とコストがかかってしまいます。そのため、和室の壁のメンテナンスについて悩みを抱える人が多いのです。
壁の塗装であればコストを抑えられる
実は和室の壁であっても、洋室と同様に塗装をするという選択肢があります。塗り素材を用いるよりも壁を塗装してしまったほうがコストを抑えられるというメリットがあるのです。特にこだわりがない人におすすめの方法です。
塗装の方がメンテナンスが楽
和室の壁は塗装をしたほうがメンテナンスが楽です。洋室の壁と同じようにメンテナンスすることができ、塗装を塗り直すにしても塗り素材と比較して短い工期と安い費用で済ませることができます。
和室の壁を塗装する流れ
和室の壁を塗装刷るための流れについて簡単に紹介します。
清掃作業をする
和室の壁を塗装する際にはしっかりと清掃作業をする必要があります。そうしないと塗装の際に汚れなどが邪魔になることがあるからです。キレイな状態にしないと塗料の定着が悪くなります
養生する
塗装する部分以外に塗料が飛び散って汚れないようにするために養生します。特に室内の塗装作業の場合は、細心の注意を払って養生することが大切です。
下地処理をする
和室の繊維壁や砂壁などに塗装する際にはいきなり塗料を塗ったとしても定着しません。そこでまずはしっかりと下地を固めるところから始めます。これによって、砂壁や繊維壁に水分が直接つくことがなくなり、はがれるのを防げます。
下塗りをする
塗装は1回だけするのではなくて複数回行い重ね塗りをするのが一般的です。その際にはまず下塗りをします。
上塗りをする
下塗りをしたあとに上塗りをします。仕上がりにこだわる場合には3回塗りをすることもあります。その場合は工事に時間がかかるため注意しましょう。
養生をはがす
しっかりと和室の壁に塗装したならば、養生をはがします。丁寧に剥がさないと和室を汚してしまいます。
和室の壁を塗装する費用について
実際に和室の壁を塗装するときにどの程度の費用がかかるものなのか解説します。
ペンキの塗装は5万~10万円かかる
実際に和室の壁をペンキで塗装する場合には、5万円から10万円程度の費用がかかります。ただし、これはどんな種類の塗料を用いるのか、壁の総面積はどのくらいあるのかなどによって変わるものです。それでも、高くても10万円程度の費用に抑えることができるでしょう。ペンキの塗装にかかる期間は2~4日程度です。
ペンキの塗装 | 5万~10万円 |
珪藻土や漆喰の塗り壁にするのには12万~20万円程度かかる
和室の壁の珪藻土や漆喰の塗り壁を塗り替えるのにかかる費用は12万円から20万円程度です。和室の広さや床の間の有無などによって費用が変わってきます。工期は2~4日程度かかります。
珪藻土や漆喰の塗り壁のやり直し | 12万~20万円 |
和室の壁の状態によっては費用が高くなる
和室の壁がどのような状態なのかによって塗装の費用は変わります。特に劣化が見られない場合には、すぐに塗装に取り掛かることができます。しかし、和室の壁の状態が悪いときには補修作業をしないと塗料がしっかりと定着しなくなります。この場合は補修作業をするのに余計に費用がかかってしまうでしょう。補修にかかる費用は2万~3万円程度です。
和室の壁の補修 | 2万~3万円 |
床の間があると施工費が高くなる
床の間のある和室で塗装をする場合には費用が高くなります。床の間のない和室と比較すると数千円から数万円程度費用が高くなることがあるのです。床の間があると作業が難しくなり、塗装しなければいけない面積も増えます。そのため、費用が高くなるのです。
和室の壁をペンキで塗装するデメリットに注意する
和室の壁をペンキによって塗装することのデメリットについて紹介します。
調湿機能が失われてしまう
和室の塗り壁の特徴は調湿機能があることです。塗り壁は日本の伝統的な工法であり、自然の素材を用いることによって吸湿性を発揮することができます。室内に湿気がたまっているときには壁の素材がそれを吸収します。逆に室内が乾燥しているときには吸収した湿気を放出するのです。これによって室内の湿度を適度に維持することができ、結露を防止する効果もあります。日本の気候風土に適した工法とされているのです。
和室の壁を塗装するのは、普通の洋室と同じ状態になるため、調湿機能は失われてしまいます。ただし、現代の住まいは換気がきちんとされていて、結露や湿気の対策ができているため、和室の壁を塗装したとしてもあまり大きな影響はないでしょう。古い家の場合は注意してください。
しばらくはニオイが残ってしまう
ペンキで塗装するとそのニオイが残ってしまいます。最新の塗料の場合はできるだけニオイが残らないように工夫されているものが多いです。それでもある程度のニオイがしてしまうため、その点は気をつけましょう。ニオイに配慮した施工をしてもらったり、塗装のあとに換気を心がけたりすることでニオイを軽減することはできます。
和室の雰囲気が損なわれることがある
和室というのは、そもそも漆喰や砂壁などの塗素材を用いることを前提として設計されています。そのため、和室というのはペンキで塗装することを前提としていません。そのため、ペンキの色などの選び方を工夫しないと和室の雰囲気を損なってしまう可能性があります。
最近は和室の雰囲気に合った塗料がたくさん出ています。色味が砂壁や漆喰などと似ているものが出ているのです。ただし、それらはあくまでも模倣であり、本物の漆喰と砂壁と比較すると違和感が出てしまいます。塗装をする前にしっかりと塗料について調べておくとよいでしょう。
和室の壁を塗装するときのポイント
これから和室の壁を塗装するときにどういった点に注意すればいいのかポイントを紹介しましょう。
DIYはおすすめしない
和室の壁を塗装するのは自力でできそうと考える人がいるかもしれません。しかし、基本的に自力で塗装をすることはおすすめできないです。和室の壁というのは洋室の壁とは状況が異なっているからです。特別な技術が必要とするため、きちんとしたノウハウのある業者に頼むべきでしょう。自分で塗装をして失敗すると、業者に助けてもらう必要があるため、結局お金がかかってしまいます。
複数の業者から見積りをもらうべき
和室の壁の塗装をしてくれる業者はたくさんあります。その業者の中からどこに頼むべきか考える際には見積りをそれぞれもらうことをおすすめします。見積りをもらい、その内容を比較することによって、どの業者に頼むと安く済ませることができるのかわかります。見積りを多くもらっておくと、業者ごとの違いがよく見えてくるでしょう。相場よりも高い費用を提示する業者を除外するのに役立ちます。
塗装には2~4日程度かかる
和室の壁の塗装はペンキを塗るだけでありすぐに終わりそうというイメージがあります。しかし、基本的には1日で塗装が終わることはないと考えましょう。さまざまな処理をする必要があり、塗料が乾くまでの時間を待つ必要もあるため、最終的に2日から4日程度の時間がかかるのです。また、塗装を終えたあとも、部屋にニオイが残ることがあるため、以前のように部屋が使えるようになるまでには時間がかかります。その点を理解したうえで和室の塗装に取り掛かりましよう。
和室の壁への塗装の実績がある業者に依頼するべき
和室の壁の塗装というのは通常の洋室の塗装とは異なる技術が求められます。そのため、これまでに洋室の塗装しかしたことのない業者に依頼したとしても失敗する可能性があるでしょう。これから業者を選ぶときには、和室の壁への塗装の実績のある業者を探してそちらに依頼することが大切です。そのような業者であれば、きちんとノウハウを有していて、どのように工事をすればいいのか職人が理解しています。
業者のホームページをチェックしてみると過去の工事実績が紹介されているものです。写真付きで詳細な情報が書かれていることもあります。事前にサイトをチェックして、和室の壁の塗装の実績が紹介されているかどうか確認しましょう。
アフターサービスに注目する
これから和室の壁の塗装を依頼する業者を選ぶときには、アフターサービスにも対応してくれるか確認しましょう。たとえば、5年や10年先まで無償で修理点検してくれる業者があります。和室の壁に塗装をしたあとでいろいろな問題が起きることがあります。そのときにアフターサービスがあれば助かります。また、定期的に点検を受けられるため、できるだけ寿命を延ばすことができるのです。こういったアフターサービスを心がけてくれるかどうか調べてみましょう。
まとめ
和室の壁の塗装についてまとめました。実は和室の壁には塗り壁や漆喰を塗るだけではなく、ペンキで塗装することもできるのです。ただし、さまざまな注意点があるため、この記事を参考にしてトラブルを避けながら塗装をしましょう。