フローリングの重ね張りは既存の床の上にフローリングを重ねて張るリフォーム方法です。
解体作業がないため施工費や材料費を抑えられ、手軽に行えるリフォームとして人気があります。
今回はフローリングの重ね張りについて、メリット・デメリット、費用相場などをご紹介していきます。
フローリング・重ね張りの特徴
フローリングの重ね張りは費用も安価で人気のあるリフォーム方法です。
ここでは、フローリングの重ね張りの特徴やメリット・デメリットをお伝えします。
手軽なリフォーム手段として人気
リフォーム方法には既存のフローリング材を解体して張り替える方法と重ね張りの2つの方法があります。
重ね張りは、既存のフローリング材を解体せずに上から重ねて張る手法のため、施工費を抑え、工事日数も短く手軽にできるリフォームです。
フローリングを重ね張りする利点
重ね張りは費用を抑えたり、工事日数を短くできたりと多くの利点があります。
ここでは重ね張りの利点についてお伝えします。
費用が安い・低予算で実行できる
重ね張りは張り替えのように解体や床下地の作業がないため、材料費と施工費が抑えられ低予算で実行できます。
フローリングが新しくなると部屋の印象はガラッと変わりますので予算を抑えてリフォームをしたい方に適した方法です。
工期が短い・1日で終わるケースもある
フローリングの重ね張りは解体作業と床下地の作業がありません。
張り替えよりも工程が少ないため工事にかかる日数が短く、長い期間の予定が組めない方に有効な方法です。重ね張りで行えば8帖ほどのお部屋は1日で終わることもあります。
騒音が少ない・近隣を気にせずに済む
フローリングの重ね張りは、解体作業がないため騒音の少ない工事です。
床の解体作業は大きな音が発生しやすく近隣の方に迷惑をかけてしまうこともあります。マンションのように上下階や隣の住民に気を配るところは騒音の少ない重ね張りがぴったりでしょう。
ゴミの排出量が少ない・処分コスト削減
フローリングの重ね張りは張り替えと異なり、解体材や材料の端材が発生しません。
通常リフォームでは解体材などの処分費が発生しますが、余計なゴミが出ない分コストを削減することができます。このため総額のリフォーム費用は下がる傾向にあります。
強度アップ・下階層への音の響きが減る
既存の床の上に新しいフローリングを重ねて張りますので、二重床となり強度を上げることができます。
また、二重床は防音効果にも期待ができるので、下の階への音の響きが気になる方に適しています。
安心・有害物質の排出リスクが少ない
床を解体すると木の粉塵やホコリなどが舞って室内の空気が悪くなります。解体のない重ね張りは空気汚染のリスクが少なく安心してフローリングを新調できます。
フローリングを重ね張りする欠点
フローリングの重ね張りは欠点となるところもいくつかあります。
欠点を知ることで対策を立てられるのでチェックしておきましょう。
段差問題・部屋全体の床が上がる
床を重ねて張るリフォーム方法のため、床の高さがフローリングの厚さ分高くなります。床の高さが違う部屋と隣り合う場合は、段差ができますので注意しましょう。
段差のところは斜面にして足が引っかからないように処置することが大切です。見切り材という足に触れるところが斜めに仕上げられている建材もあるので、それを利用するのもおすすめです。
腐食リスク・下地状態が確認できない
床を解体しない重ね張りは、床の状態を確認することができない欠点があります。
下地の状態はフローリングで隠れてしまっているため、どうしても確認するには解体をしなければいけません。
床下地は腐食やシロアリ被害にあっている可能性もあるため、状態をよく見定める必要があります。対策は工事を行う前にシロアリ点検を行ったり、床を踏んで沈まないかチェックしてみたりするといいでしょう。
他との干渉・扉が開かなくなることも
重ね張りはフローリングの厚み分床が高くなるため、扉が干渉してしまうことがあります。扉と床との隙間がわずかしかないとフローリングに扉が当たって開かなくなります。
対処方法は、扉をフローリングの厚み分切断する方法がありますが、これは設置されている扉にもよりますので、業者の方と相談して決めることが大事です。
フローリング・重ね張りに掛かる費用
フローリングの重ね張りは床面積ごとに総額が変わりますので、床面積別に費用の目安を表にまとめました。
また、総額だと工事に掛かる費用が見えにくいので、工事の内訳も載せましたのでご参考ください。
床面積別の参考価格(材料費+施工費)
床面積 | フローリング重ね張りの費用相場 |
4畳半(約8㎡) | 約48,000〜64,000円 |
6畳(約10㎡) | 約60,000〜80,000円 |
8畳(約15㎡) | 約90,000〜120,000円 |
10畳(約18㎡) | 約108,000〜144,000円 |
12畳(約22㎡) | 約132,000〜176,000円 |
15畳(約27㎡) | 約162,000〜216,000円 |
20畳(約36㎡) | 約216,000〜288,000円 |
工事に掛かる費用は床面積が大きくなるほど割安になるので、床面積が少ない場合は他の部屋のリフォームも検討するといいでしょう。
主な費用の内訳
フローリングの重ね張りの工事内訳は大きく分けると「材料費」「施工費」「諸経費」になります。それでは具体的な内容を以下にてお伝えしていきます。
材料費
材料 | 数量 | 単位 | 単価 | 合計 |
フローリング | 3 | セット | 11,000 | 33,000 |
見切り材 | 1 | セット | 3,410 | 3,410 |
見積もりは「数量」「単位」「単価」など細かく記載されていることが大切です。
施工費
工事内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 合計 |
フローリング重ね張り | 10 | ㎡ | 2,100 | 21,000 |
見切り材取り付け | 1 | 式 | 6,750 |
施工量が少ない場合は1式工事として算出されることもあります。
施工費用はどの業者に依頼するかによって異なりますので、相見積もりをして比較することをおすすめします。
家具移動費
工事内容 | 数量 | 単位 | 単価 | 合計 |
家具移動 資材製品車両運搬費 養生費 | 1 | 式 | 12,830 |
ソファーやテーブルなどの家具を移動して床には何もない状態にする必要があります。
家具移動は別途業者に依頼できますが、費用が約20,000〜30,000円掛かります。事前に工事業者に言っておけば家具の移動をしてくれることもあるので相談してみましょう。
重ね張りのフローリング材を選ぶコツ
フローリングを選ぶにはいろいろポイントがあります。
ここではフローリングを選ぶコツを種類ごとにご紹介します。
段差対策に適したフローリング材を選ぶ
重ね張りの欠点は段差ができてしまうことです。一般的なフローリングは厚さ12mmのため約1cmの段差ができます。
この高さは十分に足がつまずいてしまうので、見切り材などを入れて解消することが大切です。また、厚さ1.5〜6mm程度のフローリングもあるので、見切り材を入れないときに適しています。
安さ重視なら複合フローリングを選ぶ
複合フローリングは薄い木板や印刷したシートを合板の上に張ったものです。工場生産のため狂いが少なく品質が安定しています。
デザインの種類も豊富で価格も比較的に安価です。ただし、あまりに安いものはコーティングの性能が低いなどの問題があり劣化が早い可能性があります。
塩ビ系フローリング
フローリング種類 | 費用相場 |
塩ビ系フローリング | 約4,000〜8,000円/㎡ |
フロアタイルとも呼ばれ、厚さ約2.5mmと薄く、カッターで切断できるため施工性が良い素材です。
素材に柔軟性があるため、既存の床が多少波打っていても追従し対応できます。塩化ビニルの特性上、キッチンや洗面所など水回りにも安心して使えます。
MDF材系フローリング
フローリング種類 | 費用 |
MDF材系フローリング | 約6,000〜9,000円/㎡ |
MDFは細かい木材を原料に使用して、合成樹脂接着剤と混ぜわせて成形させた建材です。
メーカーが販売するMDFフローリングのほとんどは厚さ6mmの上貼り専用床材となっています。湿気を含むと膨らんでしまう特性があるため水回りには不向きです。
WPB系フローリング
フローリング種類 | 費用 |
WPB系フローリング | 約5,000〜6,500円/㎡ |
WPBは樹脂に木粉を練り込み薄いシート状に加工したものです。約1.5mmと薄い素材で上貼り専用になります。
素材が薄いため段差の心配もなく、施工も接着剤のみで手軽にできるフローリングです。
質重視なら無垢フローリングを選ぶ
フローリング種類 | 費用 |
無垢フローリング | 約6,500〜13,000円/㎡ |
無垢フローリングは自然の木を加工してつくったフローリングです。
木のあたたかみや経年による色の変化、傷などを味として楽しめるのが無垢の利点です。ただし、価格は高め、メンテナンス費も掛かります。
床暖房入りの部屋は専用の床材を選ぶ
通常のフローリングは床暖房に対応していません。床暖房を設置している場合は、床暖房専用の床材が必要です。
フローリング価格はそこまで変わりませんが、MDFフローリングやWPBフローリングの薄い素材は床暖房に対応していないので注意しましょう。
フローリングの重ね張りで注意したいこと
重ね張りを行うときはいくつか注意するところがありますので、下記にてポイントをお伝えします。
沈み・きしみがあれば下地点検を
床は劣化すると沈みやきしみが生じます。このような劣化症状がある場合は、下地を張り替える必要があります。
劣化をそのまま残して重ね張りしても問題は解消されませんので、予め下地点検しておくのがおすすめです。
業者選びは相見積もりで比較する
リフォーム費用は依頼する業者によってばらつきがあります。工事を行うときは複数の業者に見積もり(相見積もり)をとって比較検討しましょう。
相見積もりをとることで適正な価格と工事をしてくれる業者を選ぶことができます。
フローリングの重ね張りはDIYできる?
DIYでフローリングの重ね張りをすることも可能です。
ここではDIYで行う方法や道具についてご紹介します。
DIYでもフローリングの重ね張りは可能
両面テープや接着剤で貼り付けるだけのタイプはDIY向けで施工しやすいです。特殊な工具を使わずに、切断加工もカッターで行えるためDIYでも十分に作業を行えます。
DIYで重ね張りに必要な主な道具
フローリングタイプにより作業や道具は異なりますが、DIY向けの接着剤や両面テープを貼って施工するフローリングなら下記の道具があると便利です。
- カッター
- コーナーカッター
- 接着剤
- スクレーパー(ヘラ)
- 継ぎ目シーラー
- 圧着ローラー
- メジャー
- 鉛筆
- 鉄製の定規
DIYで重ね張りする方法
DIYで重ね貼りする作業の流れは下記になります。
- 家具や家電の移動、床の上は何もない状態にする
- ホコリや汚れなどきれいに掃除をする
- フローリングの並べ方を計画・仮置きする
- 既存床に両面テープを貼る
- 両面テープを剥がしサネ(床の継ぎ目)に合わせてフローリングを貼る
- 床面を踏んでしっかりと接着させる
- 完成
使用するフローリングで施工方法は異なるため、メーカーの施工説明書を確認しておきましょう。
DIYで重ね張りする際の注意点
床に汚れやホコリがあると接着不良を起こすのできれいに掃除してあげることがポイントです。また、フローリングを貼る前に細かく割付け(並べ方を決めること)をしておくと失敗するリスクを少なくすることができます。
フローリングは重ね貼りできない床もあります。畳やクッションフロアのような柔らかい素材に貼ってしまうと床が動いてしまいきれいに仕上げることが難しいです。
フロアコーティングもおすすめ
フロアコーティングは樹脂やオイルなどをフローリングに塗布し、表面に皮膜をつくって床を保護します。
コーティングすることで床にツヤがでて、傷もつきにくくなり、掃除や手入れが楽になります。業者依頼の費用やDIY作業に抵抗がある方は、安価で行えるフロアコーティングがおすすめです。
まとめ
重ね張りは施工費と材料費を抑え、安価にリフォームできる方法です。フローリングの柄を変えるだけでも部屋の印象は大きく変わります。
手軽にできる方法のため費用を抑えて床のリフォームをしたい方は重ね貼りを検討してみてはいかがでしょうか。