金属系サイディングとは、金属製の外壁パネルのことを言います。サイディングの中で最も人気が高いものは窯業系サイディングですが、金属製サイディングも人気が高い外壁材です。
今回は金属系サイディングの特徴や、どんな人におすすめなのか、金属系サイディングの費用相場などを説明していきます。金属系サイディングの有名なメーカもご紹介していくので、金属系サイディングを検討している人は参考にしてください。
金属系サイディングとは
まず、金属系サイディングはどんな外壁材なのか、見た目はどのようになるかなどを説明していきます。金属系サイディングという名前しか知らないという人はご覧ください。
どんな見た目になる?
金属製サイディングは、ステンレスやアルミ、ガルバリウム鋼板などの金属から作られた外壁材です。ステンレスやアルミだと高くなってしまうため、ガルバリウム鋼板で作られたものが普及しています。
見た目は、シンプルでモダンなデザインが多かったのですが、インクジェットプリンターで塗装が可能になってからは意匠性も高まりました。意匠性の高さでは窯業系サイディングと並ぶほどになっています。
金属系サイディングの寿命や耐久年数
金属の種類 | 耐久年数 |
---|---|
トタン | 15~20年 |
ガルバリウム鋼板 | 30~35年 |
エスジーエル鋼板 | 30~40年 |
アルミサイディング | 35~40年 |
金属系サイディングの寿命や耐久年数は、使われている金属によって変わってきます。トタンの場合は15~20年、ガルバリウム鋼板の場合は30~35年、エスジーエル鋼板の場合は30~40年、アルミサイディングの場合は35~40年が目安です。
ただし、住宅の環境や施工方法、メンテナンスを行った頻度などによって耐久年数は変わってくるので、定期的なメンテナンスを欠かさないようにしましょう。
金属系サイディングの特徴
ここからは、金属系サイディングの特徴をご紹介していきます。他の外壁と比べて、金属系サイディングにはどんな特徴があるのか、選ぶことでどんな利点があるのか分かるため見ていきましょう。
暑さに強い
金属系サイディングには、断熱材が組み込まれているので、断熱性に優れていて暑さに強くなっています。金属系サイディングと室内の間に胴縁という隙間を作るため、より暑さに強くなります。
暑さに強く冷房の効果が上がるため、金属系サイディングを選ぶことで電気代の節約も可能です。
地震に強い
金属系サイディングは、窯業系サイディングの4分の1程度、モルタル外壁の10分の1程度の重さのため、外壁材の中でも軽い部類に入ります。そのため、建物の柱などにかかる負荷が抑えられて、地震の影響が抑えられるのです。
また、金属系サイディングはひび割れの可能性や脱落の可能性も低いため、地震の多い地域の外壁で良く選ばれます。
寒さが原因で劣化しにくい
窯業系サイディングやモルタル外壁などの外壁材は、水分が外壁の内部に染み込むため、水分が凍結してしまうことがあります。
ですが、金属系サイディングは水分が外壁内部に入りにくいので、凍害を防ぎやすいという特徴があります。なので、雪が降る地方では、断熱効果だけでなく凍害防止のために選ばれることも多い外壁材です。
ひびが入りにくい
金属系サイディングは、他の外壁材と比べてひびが入りにくい外壁材です。モルタル外壁などは、ひびが入ってしまうと修繕が必要になりますが、金属系サイディングの場合はひびが入りにくいため、メンテナンスの回数を抑えられます。
ですが、壊れにくいというわけではなく、ものを思いっきりぶつけたり、引っかき傷が入ることもあり、キズからサビが発生してしまうこともあります。メンテナンスが必要ないわけではないため注意しましょう。
金属系サイディングのデメリットと理由
金属系サイディングならではの特徴は先ほどご紹介しましたが、ここからは金属系サイディングのデメリットや、デメリットの理由をご紹介していきます。
事前にデメリットや理由を知っておくことで、対策も可能ですし他の外壁材を検討することも可能です。外壁は気軽に変えられるものではないため、必ず先に知っておきましょう。
施工できる業者が少ない
金属系サイディングの施工ができるのは、板金工事業者のみになります。金属系サイディングの工事は、専門性が高いため窯業系サイディングを専門とする工事業者は施工できません。
なので一般的な業者に、金属系サイディングにしたいと依頼を出しても断られたり、高額な見積もりを出されて他の外壁材を勧められることも多いです。
品質の高い金属系サイディング外壁にするためには、慎重な業者選びが大切なので覚えておきましょう。
金属でできているため窯業系より錆びやすい
金属系サイディングは金属でできているため、窯業系サイディングよりも錆びやすくなります。耐用性が高く錆びにくくはなっていますが、錆びないと思い込まないように注意しましょう。
また、錆びたまま放置すると、穴が空いたり雨漏りの原因となり劣化が早まってしまいます。錆びを発見した場合は、できるだけ早めにメンテナンスを行ってください。
キズが付くと錆びやすくなる
金属製サイディングは、窯業系サイディングよりも錆びやすくなっていますが、基本的には錆びが発生しにくく作られています。それでも錆びが発生してしまう理由はキズです。
表面の強度は強いものの、キズが付きやすいというデメリットがあり、表面のキズから錆びが発生してしまいます。また、キズから紫外線の侵入や風雨が侵入して劣化することも多いです。
カギなどの尖ったものや金属をぶつけてしまうと、キズが付いてしまうため注意しましょう。
金属のため最も安い値段でも窯業系より高くなる
金属系サイディングは、窯業系サイディングや樹脂系サイディングと比べると価格が高くなってしまいます。新築時の場合は、窯業系サイディングの1.3倍、樹脂系サイディングの1.5倍程度、価格は高くなります。
なので、予算を抑えたいというときには、金属系サイディングよりも窯業系サイディングの方がおすすめです。
金属系サイディングの費用相場
ここからは、金属系サイディングの費用相場について説明していきます。カバー工法時の費用相場、張り替え時の費用相場、メンテナンス時の費用相場を説明していくので、リフォーム時の費用が知りたい人や、メンテナンスコストが知りたい人はご覧ください。
カバー工法の費用相場
費用相場 |
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190万~260万円 |
カバー工法とは、既存の外壁に金属系サイディングを上張りする方法です。30坪程度の住宅の場合は、190万~260万円が費用相場となります。ただし、住宅の外壁の損傷や、足場の難易度次第で高くなることも多いです。
張り替えの費用相場
費用相場 |
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210万~270万円 |
張り替え工法は、既存の外壁をすべて剥がして、金属系サイディングに張り替える工法のことです。カバー工法が不可能なくらい、外壁が劣化しているときに選ばれます。
外壁をすべて剥がす必要があるため、カバー工法よりも費用が高くなり、210万~270万円が費用相場になります。また、カバー工法よりも工期が長くなることが多いです。
塗装メンテナンスの費用相場
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場 |
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ウレタン | 8年~10年 | 70万~110万円 |
シリコン | 10年~15年 | 80万~125万円 |
フッ素 | 15年~20年 | 90万~135万円 |
無機 | 20~25年 | 110万~165万円 |
金属系サイディングの塗装メンテナンスの費用相場は上記になります。塗装メンテナンスの費用相場は、塗料の種類によって変わってきます。
ウレタンは70万~110万円、シリコンは80万~125万円、フッ素は90万~135万円、無機は110万~165万円が費用相場です。また、塗料によって耐用年数も変わってくるため、予算に合わせて選びましょう。
シーリング補修工事
工事内容 | 費用相場 |
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シーリング | 800円~1,100円(1m) |
足場代 | 10万~20万円 |
金属系サイディングの隙間を埋めているシーリングの補修も大切なメンテナンスです。シーリングの補修を怠ると、建物の劣化が早くなるため忘れないようにしましょう。
シーリングの補修費用は1メートルあたり800円~1,100円程度です。ですが足場を組む必要があるため、足場代として10万~20万円も発生します。
金属系サイディングの業者の選び方
金属系サイディング工事は、業者選びが非常に大切です。ここからは、金属系サイディング業者の選び方を説明していくので、業者選びの参考にしてください。
金属系サイディングができる業者かどうか
金属系サイディングの工事は、板金工事会社が行います。今までは金属系サイディングの工事、金属屋根の工事のどちらもできる板金工事会社が多かったのですが、最近はどちらかの工事しか出来ないケースが増えています。
なので、板金工事会社だからといって確実に金属系サイディング工事ができると思わないように注意しましょう。
今までの実績を確認する
良さそうな業者を見つけたら、今までに行った金属系サイディング工事の施工写真を見てみましょう。インターネットなどで施工実績を載せている業者ほど、信頼できる業者の可能性が高いです。
設立年数が長いほど安心できる
設立年数が長いほど、施工実績が多いですし多くのお客様と関わってきたことになるため信頼できます。仮にトラブルが起こっていたとしても、解決してきたという証明にもなります。
また、建設業許可証で板金工事業の記載があるかどうかも確認してください。
金属系サイディングの有名メーカー一覧
ここからは、金属系サイディングのメーカーや人気の商品をご紹介していきます。どこのメーカーを選んでも変わらないと思っている人もいますが、デザインだけでなく素材や張り方が変わってくるため、メーカー選びはとても大切です。
有名なメーカーの中でも違いがあるため見ていきましょう。
アイジー工業
アイジー工業は、日本国内で最も知名度が高い金属建材メーカーです。金属系サイディングでは、ガルバリウム鋼板製品が中心になります。シンプルでスタイリッシュなものが多く、優れた断熱材を使っていることが特徴です。
アイジー工業の人気商品
アイジー工業の人気商品は2020年4月に発売されたフィネストーンです。塗膜保証は20年、赤さび保証20年が付き、クリンフェクトというセルフクリーニング効果で、雨筋汚れが付きにくくなっています。
金属系サイディングの中でもナチュラルな風合いとテクスチャーのため、自然なイメージにしたいときにおすすめです。
ニチハ
ニチハは、外壁材の大手メーカーで、金属系サイディングメーカーを買収してから金属系サイディングも取り扱うようになりました。ニチハの金属系サイディングは、マイクロガードというセルフクリーニング機能がある商品が人気です。
また、金属系サイディングと窯業系サイディングを組み合わせたデザインを得意としていて、キレイな外観を作り上げられます。
ニチハの人気商品
ニチハの人気商品は、NS型ネオスパンプレミアムです。凸部が細くなっているため、シャープな印象を与えてくれる金属系サイディングになります。また、NS型ネオスパンプレミアムと、窯業系サイディングを組み合わせることも人気です。
旭トステム外装
旭トステム外装は、金属系サイディングだけでなく窯業系サイディングや樹脂系サイディング、外壁タイルなどを取り扱っている外壁材メーカーです。セルフクリーニング機能が付いたものが多く、保証年数が長いという特徴もあります。
また、ガルバリウム鋼板を改良したエスジーエル鋼板を取り扱っています。エスジーエル鋼板は、ガルバリウム鋼板の3倍を超える耐食性があり、腐食抑制効果が大きいため、海沿いの家などで使われることが多いです。
旭トステム外装の人気商品
旭トステム外装外装の人気商品は、スパンサイディングNです。金属系サイディングで初のエスジーエル鋼板が採用されています。エスジーエル鋼板は腐食しにくいため、雨の多い地域や海沿いの地域で用いるときにおすすめです。
ケイミュー
ケイミューは、屋根材や雨樋の大手メーカーです。会社の規模が大きく部材を別々に出荷できるので、ロスが少なくローコストで施工できるという特徴があります。
また、ケイミューはパッキン材を装備してシーリングの充填が必要ない、シーリングレスを実現した金属系サイディングを取り扱っています。シーリング部分のメンテナンスが必要なくなるため、メンテナンスコストを抑えられるため人気があります。
ケイミューの人気商品
ケイミューの人気商品はグロッシュです。グロッシュはシーリングレスの金属系サイディングのため、シーリング部分のメンテナンスの必要がありません。また、シーリングレス工法でも止水性はしっかりしているので安心してください。
YKK AP
YKK APはアルミ建材メーカーです。アルミのサイディングを取り扱っている大手会社で、建物の重量を軽くしたいときや、塩害を受けやすい住宅で選ばれることが多くなっています。
YKK APの人気商品
YKK APの人気商品は、エーベルストーンです。深彫デザインのアルミサイディングで、耐候性の高い塗膜で仕上がっています。塩害を受けやすい海岸沿いや、海風の多い地域におすすめです。
金属系サイディングはこんな人におすすめ
ここまで金属系サイディングの特徴や人気商品などをご紹介してきましたが、どんな人や住宅に金属系サイディングが向いているのか判断が難しいかと思います。
そこで、最後に金属系サイディングが向いている人や状況をご紹介していきます。金属系サイディングの良いところを最大限活かせる状況を知っておくことで、選ぶべきかはっきりとするので見ていきましょう。
雪が多い地域に住んでいる人
金属系サイディングは、断熱性能が高い外壁で、凍害に強いというメリットを持っています。なので、雪が多い地域や寒い地域でおすすめの外壁材です。北海道や東北で使われる事が多い外壁材で、寒さが苦手な人にもおすすめできます。
地震に強い住宅にしたい人
金属系サイディングは軽量なので、耐震性の向上につながります。建物が軽量であるほど、耐震性は向上するため、地震が多い地域や道路が隣接していて振動しやすいときにもおすすめです。
まとめ
今回は金属系サイディングの基本的な情報や特徴、費用相場などをご紹介してきました。金属系サイディングは軽量で地震に強く、寒さに強いという特徴があるため、これらの対策を行いたい人におすすめの外壁材です。
ですが、金属でできているため、海沿いの地域ではあまりおすすめできません。錆びにくいアルミ製のものもありますが、費用が高くなってしまうことも覚えておきましょう。
また、金属系サイディングは施工業者の選び方もとても大切です。複数の業者から見積もりをもらって、比較することで満足度の高い工事が行えるので、参考にしてください。