羽目板は、日本国内で古くから使われていて、壁面に板を連続して張る仕上げ方法です。張り方には種類がありますし、外壁や室内壁、天井などにも使われています。
今回はそんな羽目板の基礎知識や、特徴をご紹介していきます。外壁を羽目板にしたいと考えている人や、羽目板にするときの費用が知りたいという人はぜひ参考にしてください。
羽目板とは?
羽目板とは、壁や天井に張る板のことで並べて張り合わせて使うものです。日本では古くから建築で用いられていて、無垢のものが特に人気がありました。調湿や保温機能があるため、日本の気候にあった建材です。
羽目板の寿命や耐久性
耐久年数 |
---|
100年 |
羽目板の耐久年数は100年程度となります。耐久年数だけ見ると羽目板を選びたくなりますが、100年使うためには定期的なメンテナンスが欠かせません。羽目板のメンテナンスは3~5年に一度必要のため、メンテナンスが高くなることを覚えておきましょう。
羽目板の種類
羽目板に使われる木材は、いくつかの種類があります。ここからは羽目板に使われる代表的な種類について説明していきます。
杉
杉はポピュラーな木材で、温度調整機能や湿度調整機能が優れているため使われることが多いです。また、価格面で見ても他の木材よりも安価のため人気が高くなっています。
ひのき
ひのきは、素晴らしい香りが特徴的な木材です。また、香りが優れているだけでなく木目の美しさや耐水性も優れています。なので、費用よりも見た目を重要視するときに選ばれる木材です。
さわら
さわらは、耐水性に優れている木材で、湿度の高い場所で使われることが多くなっています。やや赤みがかった色合いが特徴的で、落ち着いた外観にしたいときに人気が高い木材です。
槇
槇は、白に近い色合いが特徴的で、水にたいへん強いという特徴も持っています。ただし、生産量が少なくなってきているため、費用が高くなってしまうというデメリットもあります。
羽目板のメリット・デメリット
ここからは、羽目板のメリットとデメリットについて説明していきます。羽目板はきちんとメンテナンスを行うことで100年程度使えますが、他にどんなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。
羽目板のメリット
まずは羽目板のメリットから説明していきます。
自然な木目調でデザインに優れる
羽目板の最大のメリットは、自然の木の味わいを楽しめるということです。最近は窯業系サイディングや樹脂系サイディングなどでも、自然な木目調のものを選べますが、羽目板は本物の味わいを楽しめます。
定期的にメンテナンスを行うことで耐久性が高くなる
羽目板は定期的なメンテナンスを行うことで、100年程度使えます。他の外壁材は、定期的にメンテナンスを行ったとしても40年程度が耐久年数なので、耐久年数で見ると羽目板は抜群に優れています。
環境に優しい
羽目板は天然の素材で作られているため、環境のことを考える人におすすめです。また、環境のことだけでなく、自然の温もりがある自宅になるというメリットもあります。
羽目板のデメリット
ここからは、先ほどとは反対に羽目板のデメリットを説明していきます。良い点が目立つ羽目板ですが、デメリットもあるため見ていきましょう。
メンテナンス期間が短い
羽目板の寿命や耐久性の項目でも説明しましたが、羽目板は寿命や耐久性は長いものの、メンテナンスの期間が非常に短くなっています。3~5年程度でメンテナンスを行わなければいけないため、メンテナンス費用が高くなりがちです。
窯業系サイディングの場合は7~10年程度がメンテナンス期間のため、メンテナンス費用だけで倍以上違いが出てくるので注意しましょう。
メンテナンスをしないと劣化が早くなる
先ほども説明した通り、羽目板は3~5年程度でメンテナンスを行う必要があります。他の外壁材でも言えることですが、メンテナンスを欠かしてしまうと、劣化が早くなり100年程度の耐久性が失われます。
日差しに弱い
羽目板は木材のため日差しに弱いというデメリットもあります。外壁で利用する場合は、日差しに当てられることが多いため塗装で補う必要があります。また、火事が起きた場合なども燃え広がりやすいため対策は必須です。
羽目板の外壁塗装の施工について
羽目板の外壁塗装は、他の外壁塗装と施工工程は変わりませんが、他の外壁より作業が大変な工程もあるため見ていきましょう。
下地処理作業
羽目板の外壁塗装では、下地調整に時間がかかってしまいます。下地調整ではサンドペーパーなどを使って、キレイに旧塗膜を研磨して削っていきます。その後、落ちきらなかった旧塗膜をシンナーで溶かすという作業を行うため時間がかかるのです。
また、下地処理作業を行っているときに、劣化が激しい板があった場合は塗装せずに張り替えを行うことがほとんどです。
下塗り・中塗り・上塗り
下地処理作業が完了したら塗装作業に入ります。羽目板の外壁塗装では、下塗り・中塗り・上塗りの3工程を行って、塗料を密着させます。
下塗りは羽目板と塗料の間で、塗料の密着性を高めるために行う重要な工程です。羽目板は木材のため塗料の吸い込みが多いので、吸い込みを抑えるシーラーが使われることが多いです。
中塗りと上塗りは同じ塗料を使うことがほとんどで、羽目板ではウレタン塗料かシリコン塗料のどちらかが選ばれます。他の外壁材では耐用性が高いシリコン塗料が人気ですが、羽目板の場合は3~5年周期で塗り替えるためウレタン塗料の方が人気です。
シリコン塗料は紫外線カット機能があるため選ばれることもありますが、コストが高くなってしまうため注意しましょう。
羽目板の塗装費用相場
内容 | 費用相場 |
---|---|
塗装のみ | 50~60万円 |
一部張り替え | 60~80万円 |
羽目板の塗装費用相場は、塗装のみの場合は50~60万円、一部張り替えが必要な場合は60~80万円となります。塗装のみの場合は費用は抑えられますが、劣化が激しい場合は、張り替える必要が出てきます。
張り替える場合は、大工に依頼する必要があるため、塗装のみの場合よりも高くなってしまいます。
羽目板はこんな人におすすめ
羽目板は以下に当てはまる人におすすめの外壁材です。
- 自然な木目調が好き
- エイジングを楽しめる
羽目板は、天然木を使っているため、不自然な人工感が一切ありません。模様も美しい自然のもので、人工では実現しにくい独特の味わいがあります。また、高級感も漂う外壁材なので、自然のものにこだわりたい人におすすめです。
羽目板は天然木なので、月日が経つごとに劣化してしまいます。ですが、劣化具合を楽しめる人にとっては、見た目の変化も美しく感じられます。施工当初は、透明感のあるきれいな外観ですが、時間が経つほど落ち着いた風格になってきます。
天然木ならではの見た目の変化を楽しめるという人に、羽目板はおすすめできます。反対に、長期間経過しても同じ見た目のままが良いという人には不向きな外壁材です。
羽目板以外で木目調が楽しめる外壁
羽目板は天然木を使っているため、自然な木目調を楽しめます。ですが、メンテナンスを3~5年程度で行わなければいけないというデメリットがあるため、メンテナンスコストが高くなりがちです。
そこで、ここからは木目調の雰囲気を楽しめる羽目板以外の外壁材をご紹介していきます。羽目板が良いなと思っていたけれど、メンテナンスコストがネックだという人は参考にしてください。
窯業系サイディング
窯業系サイディングは、セメントと木質系成分を混合した外壁材です。日本国内で最もシェアが多いサイディングで、他のサイディングと比べて安いという特徴もあります。
窯業系サイディングは、様々なデザインやカラーが用意されているため、木目調の窯業系サイディングを選ぶことで、安価に木目調の雰囲気を楽しめます。窯業系サイディングは、導入コストも抑えられますし、メンテナンスも7~15年周期のため、メンテナンスコストも抑えられます。
また、天然木を使っているわけではないため、火事などの心配が減るというメリットもあります。ただし、天然木ではないため、羽目板ほど雰囲気が出ないと感じる人もいます。
木質系サイディング
木質系サイディングは、天然木を使ったサイディングです。サイディングの中で最も天然に近いため、自然な風合いを維持しつつ羽目板よりも断熱性能などが向上しています。
見た目の雰囲気が、最も羽目板に近く、羽目板との違いが分からないこともあります。また、加工具合にもよりますが、羽目板と同じようにエイジングを楽しめるという特徴もあるため、エイジングを楽しみたい人にもおすすめです。
ですが、窯業系サイディングと比べると費用が高くなりますし、メンテナンスも3~10年程度で行う必要があるためメンテナンスコストも高くなりがちです。また、羽目板より防火性は優れていますが、他の外壁材と比べると防火性が低く建築基準法の制約を受けることもあります。
金属系サイディング
金属系サイディングは、断熱材に金属メックを施した外壁材です。金属系ですが、表面に木目調のシートなどを張り付けることで、木目調の雰囲気を楽しめます。
羽目板や他のサイディングと比べると、丈夫で経年劣化の影響を受けにくいという特徴を持っています。また、メンテナンスのコストが比較的安いことも特徴です。
ただし、羽目板や木質系サイディングと比べると、金属の質感が出てしまうこともあり、自然な木目調にはなりにくいというデメリットがあります。また、強風の多い地域や海沿いなどの場合は、メンテナンス頻度が高くなることも注意点です。
まとめ
今回は羽目板の特徴や、メリット・デメリット、塗装費用相場などをご紹介してきました。羽目板は、天然木を使っているため自然な風合いが出ることが最大の特徴です。
ですが、天然木なので耐火性が低い、頻繁にメンテナンスをする必要があるというデメリットも持っています。見た目の良さで選びたくなる外壁材ですが、メンテナンスの頻度も考慮して検討していきましょう。