外壁塗装・外壁

吹き付け塗装の詳細を解説|モルタル外壁をキレイにしたい人必見!

かつての日本の住宅では広く採用されたモルタル外壁。築年数が経過して、いたるところに汚れや破損が目立つことも多いでしょう。

おそらく、あなたも外壁リフォームを意識して色々と情報を調べているはずです。とくにモルタル外壁の仕上げとしては一般的な「吹き付け塗装」について知りたいのではないでしょうか。

本記事では吹き付け塗装の特徴から費用まで具体的に解説していきます。読むだけで吹き付け塗装のすべてがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。

吹き付け塗装はモルタル外壁の仕上げ

吹き付け塗装は名前のとおり、スプレーガンなどの工具を使って塗料を吹き付ける塗装法です。主にモルタルの外壁の仕上げとして行われています。ただし、住宅建設やリフォーム業界の需要としては減少気味です。

理由は昨今の住宅ではモルタル外壁自体が少ないためです。他の外壁でも吹き付け塗装を行うことはできますが、一般的ではありません。

需要が少ないため、工務店のパンフレットなどにも吹き付け塗装の情報を掲載していないことがあります。情報がなくとも対応可能な業者は多いので、気をつけてください。

吹き付け塗装を行う理由

モルタル外壁に吹き付け塗装を行うのは、いくつかの理由があります。詳しくは以下を参考にしてください。

高級感のあるデザインになる

モルタル外壁に吹き付け塗装を行う最大の理由は、高級感のあるデザインにできることです。詳しくは後述しますが、吹き付け塗装は意匠性のある表面に仕上げることができます。

単純に平面的に塗装するよりも外観がよくなるため、モルタル外壁の仕上げとしてはいまだに高い需要があります。現状のモルタル外壁が平面塗装であれば、吹き付け塗装で簡単に外観を変化させることができるでしょう。

モルタル外壁を撤去せずにオシャレな外観に変えるには、吹き付け塗装が最も手軽な方法です。

低コストで外壁を保護できる

吹き付け塗装は低コストで外壁を保護することが可能です。外壁の塗装にはハケやローラーを使った工法がありますが、時間がかかるため人件費がかさみます。

吹き付け塗装は少ない人員で広範囲を一気に塗ることができるため、外壁の仕上げとしては価格が安いです。定期的なメンテナンスとして塗り直すだけなら、大半が吹き付け塗装で行われます。

ただし、塗装の範囲が狭いときは逆にコスパが悪いです。部分的な補修を望んでいる場合は、ローラーによる塗装を提案されることがあるので注意しましょう。

工期が短い

吹き付け塗装は短い工期で済むのも好まれる理由です。手作業とは違い、機械によって塗装するため、素早く仕上がります。 現場の職人も効率的に仕事ができるため、とくに理由がなければ業者も吹き付け塗装を提案してくることが多いです。

また、工期が短いため、生活の不便から早く解放されるのも特徴です。外壁の工事中は足場や養生シートが邪魔になるほか、作業音が室内まで響いてきます。家事や在宅仕事に影響が出ることもあるでしょう。

短期間で外壁を塗り直すには、吹き付け塗装が最善の方法といえます。

吹き付け塗装のバリエーション

吹き付け塗装は仕上げ方にいくつかのバリエーションがあります。以下では吹き付け塗装の主な仕上げ方法を4つ解説していきます。

リシン

リシンは細かな石材が含まれた塗料で行う仕上げ方です。表面がザラザラした質感となり、落ち着いた印象を外壁に与えます。特殊な技術もいらないため、費用も安価な傾向です。

質感が物足りないという場合は「掻き落とし」という工程が追加されます。吹き付けた塗料が固まる前に、ブラシで表面をなだらかにする手法です。通常のリシンよりも荒い質感となり、外壁に表情が生まれます。

ただし、掻き落としは熟練の職人でないと難しい作業です。業者によっては追加費用を請求されるため、気をつけてください。

スタッコ

スタッコとはセメントに塗料、大理石などを混ぜたものを吹き付ける仕上げ方です。質感はザラザラしていますが、リシンよりも厚みのある印象になります。職人の技術次第では、大きく凹凸をつけて立体的な模様を作ることも可能です。

しかし、凹凸をつけすぎると汚れが付着しやすくなるのが欠点となります。オシャレさを追求すると機能性が失われていく仕上げ方です。

また、リシンよりも必要な塗料が多くなるため、費用が高くなります。遠目からはリシンもスタッコも外観に大きな差はないので、費用を抑えたい人はリシンを採用するといいでしょう。

スキン

スキンはリシンよりも石材成分が多く含まれた塗料で行う仕上げ方です。外観がクールな印象になり、手触りに硬さが生まれます。少々の汚れなら目立ちにくいのも魅力です。

細かな石材が密集した表面のため、意外にも通気性が高いという特徴があります。リシンよりも費用は高額になりますが、外壁内部の保護を考えるならリシンよりもおすすめです。

スキンは業者によってはセラミック仕上げと呼ぶことがあるので、相談する際は気をつけてください。

吹き付けタイル

吹き付けタイルは表面に塗料を玉状に飛ばして、まだら模様を作る仕上げ方です。モルタル外壁の仕上げ方のなかでは、最もデザイン性があります。モルタル外壁といえば、吹き付けタイルで仕上げられたものを想像する人も多いです。

吹き付けタイルはデザインに優れている反面、作業に時間がかかるのが欠点です。下地から表面まで3層に分けて塗装するため、塗装範囲が広いと長い工期が必要となります。

外壁のリフォームにあまり時間をかけたくない場合は、リシンやスキンを選択するといいでしょう。

吹き付け塗装に必要な費用

吹き付け塗装に必要な費用は仕上げ方によって違います。具体的には以下のとおりです。

仕上げ方費用相場(1㎡)
リシン2,000円
スタッコ2,500円
スキン 2,300円
吹き付けタイル3,000円~5,000円

上記が吹き付け塗装に必要な費用の相場です。リシンからスキンまではたった数百円の差に見えますが、塗装面積が広いほど差額が広がります。実際の費用はお住まいの住宅の外壁面積から計算してみてください。

また、塗装費用は使用する塗料によっても変化します。実際の見積もりは仕上げ方、塗料が決まらないと出せないため、業者に確認してみましょう。

吹き付け塗装の一般的な工期

吹き付け塗装の一般的な工期は以下のとおりです。

作業内容日数
足場の設置・撤去1日~2日
洗浄・下地処理3日~5日
養生シートの設置1日
塗装2日~3日
仕上げの微調整1日

上記が吹き付け塗装の一般的な工期です。外壁の塗装には事前準備に時間がかかります。最終的な仕上げが終わるまでには1週間から10日は必要と思ったほうがいいでしょう。

工事期間中は業者の出入りや騒音などがあるため、来客などの予定と重ならないようにしてください。

吹き付け塗装の以外の仕上げ

モルタル外壁は吹き付け塗装以外にも仕上げ方があります。詳しくは以下を参考にしてください。

吹き付けをしないときはローラー塗装

モルタル外壁の仕上げは、吹き付け塗装以外だと基本的にローラー塗装となります。職人がローラーを使った手作業で塗料を塗っていく方法です。

機械作業ではないため、工期が長く費用も割高です。具体的には吹き付け塗装の相場(1㎡)にたいして1,000円ほど高くなります。職人の技術によっては色ムラが出てしまうのも難点です。

何らかの理由でローラー塗装を行うときは、作業に慣れた職人いるか業者に確認したほうがいいでしょう。

ローラー塗装は作業音が静か

ローラー塗装は作業音が静かなことが特徴です。近隣にどうしても迷惑をかけられないときは、吹き付け塗装に代わって採用されます。狭い場所でも塗りやすいのも利点です。

たとえば、住宅街では隣家との隙間が短いことがよくあります。吹き付け塗装だと音がうるさいほか、隣家に塗料が飛散する可能性があるのです。ローラー塗装であれば、近隣への影響を最小限にすることができます。

ご自宅の立地によってはローラー塗装も検討してみてください。

塗装費用を抑えるには塗料選びが大事

モルタル外壁の塗装費用を抑えたい人は、使用する塗料に注目してみましょう。塗装費用は塗料の系統によっても変化します。以下では、外壁に使われる主な塗料について解説していきます。

アクリル

アクリル系塗料は外壁用の塗料としては最も安価です。相場は1㎡あたり1,400円~1,600円ほどになります。ただし、アクリル系塗料は安い以外の特徴がほとんどありません。

アクリル系塗料は耐用年数が5年~7年と短く、短いスパンで塗り直す必要があります。塗料のグレードとしては低いので、業者も基本的には他の塗料を進めてきます。

アクリル系塗料はどうしても予算がない人向けといえるでしょう。

ウレタン

ウレタンは吹き付け塗装のなかでも使用率の高い塗料です。相場は1㎡あたり1,800~2,000円ほどになります。アクリルよりも高価ですが、耐用年数は7年~10年です。

ただし、ウレタンは耐久性はあるものの、変色しやすいのが欠点です。機能面に問題はなくとも、外観の維持でいえば早めに再塗装の必要があります。

メンテナンス費用を考えるなら、ウレタンよりもハイグレードの塗料を選んだほうがいいでしょう。

シリコン

シリコンは中級グレードの塗料です。相場は1㎡あたり2,500~3,200円ほどになります。特徴は耐用年数の長さです。耐用年数はメーカーによって微妙に違いますが、最長で15年前後となります。

メンテナンスの機会を減らすことができるため、長期的に見れば最もコスパに優れた塗料です。鼻にツンとくる塗料独特の臭いもないので、臭いに敏感な人に適しています。

注意点は光沢のある質感になることです。マットな仕上がりを求めているときには不向きなので注意しましょう。

フッ素

フッ素は性能の高いハイグレードの塗料です。相場は1㎡あたり3,500~5,000円あたりになります。他の塗料の1.5倍から2倍近くの単価です。簡単には手が出せない金額ですが、耐用年数は15年~20年を誇ります。

また、フッ素は気温の変化や太陽光の熱にも強いのが特徴です。劣化スピードが遅いほか、室内温度の変化を抑えてくれます。

自宅が小さく、外壁の面積が狭いといったときは候補に挙げてみてもいいでしょう。

吹き付け塗装で見栄えのいい外壁を保とう

吹き付け塗装の特徴や費用を解説してきました。吹き付け塗装はモルタル外壁の仕上げとしては一般的な方法です。モルタル外壁の塗り替えを検討しているならば、ほぼ確実に吹き付け塗装を行うことになるでしょう。

もし、実際に塗り替えを決断したときは、ぜひ本記事を振り返ってください。デザインから費用面まで、納得のいくリフォームが行えるはずです。