外壁のリフォームでどうしても悩むのが新たな外壁の種類です。今では外壁の種類が多くあるため、簡単に決めることができません。真っ先に浮かぶ外壁の種類といえば、昔ながらの漆喰外壁です。
あなたも外壁のリフォームを検討するなかで、試しに漆喰外壁について調べているのではないでしょうか。
本記事では漆喰外壁の概要を解説していきます。漆喰外壁が選ばれる理由から具体的な費用まで網羅しているので、参考にしてみてください。
漆喰を使った外壁とは
漆喰を使った外壁は日本に古くからある建築の1つです。材料である漆喰は石灰に水を混ぜて作られており、つなぎとして海藻を入れてあるものは本漆喰と呼ばれます。日本古来の家屋に見られる漆喰は、ほとんどが本漆喰によるものです。
現代では海藻の代わりに化学製品を混ぜた商品が主流のため、漆喰ではなく漆喰調と呼ばれることがあります。品質は漆喰調のほうが上です。しかし、古い住宅では昔からの雰囲気を維持するための本漆喰にこだわることもあります。
日本の伝統を受け継ぐのが漆喰外壁です。
漆喰外壁が選ばれる理由
漆喰外壁は流行りのサイディング系外壁とは違った魅力を持っています。以下では、漆喰外壁が選ばれる理由を具体的に解説するので参考にしてみてください。
高い防火性能
漆喰外壁が選ばれる最大の理由は高い防火性能を持っていることです。 漆喰は石材と似た成分なので、基本的に燃焼することがありません。少々の火種では焦げつく程度で済むことが多いです。
住宅が密集している場所なら、火災が起きても近隣に広がらないように漆喰外壁にこだわる人も多いです。 日本は地震などの自然災害が多いため、防火性能の高さは生活の安心感に直結します。
万が一の事態に備えるなら、漆喰外壁は有力な選択肢です。
外部に音漏れしにくい
漆喰外壁は室内の音が外に漏れにくい特徴があります。漆喰外壁は木製ボードなどに比べて厚みと重量があるため、外壁のなかでは防音性能が高いです。集合住宅に使われることもあります。
一軒家であれば、隣家との距離が近いときや、室内で楽器の演奏をしたいときに候補にあがります。実際は玄関や窓から音が漏れるため、完全な防音にはなりませんが、生活音が気になる人にはぴったりです。
実際にモデルハウスに足を運べば音の伝わり方を感じることができるので、気になる人は足を行ってみてください。
湿気に強い
漆喰外壁は湿気に強く、腐食しづらいことも特徴です。余分な湿気は適度に吸収し、乾燥しているときは内部に溜まった湿気を吐き出す性質を持っています。室内を調湿してくれるため、快適な空間を維持しやすいです。
たとえば、住宅が山手などの湿地が溜まりやすい場所にあるなら、漆喰外壁にすることで室内環境の改善に期待できます。今までの外壁が雨水で腐食しているなら、漆喰外壁にすることで手入れもラクになるでしょう。
漆喰外壁は普段の生活で湿気が気になっている人におすすめの外壁といえます。
耐用年数が長い
漆喰は耐用年数が他の建材よりも圧倒的に長いのも魅力です。漆喰は空気中の二酸化炭素を取り込むことで、徐々に硬くなる性質を持っています。簡単に崩れることがないので、耐用年数は100年以上ともいわれます。
ただし、耐用年数が長いとはいっても、メンテナンスフリーではありません。傷や汚れは当然のようにつきます。手入れを怠れば、漆喰外壁といえど寿命は短くなることでしょう。
しっかり手入れさえすれば、世代を超えて使うことができるので、家族に家を残したいといったときにはおすすめです。
漆喰外壁に寄せられる不満
漆喰外壁は根強い人気があるいっぽう、施工後に不満を漏らす人がいます。以下では、漆喰外壁に多く寄せられる不満の例を紹介していきます。
施工後は独特の臭いがある
漆喰外壁特有の症状として、施工後の数年間は独特の臭いが生じます。土っぽいさのある臭いで、人によっては不快に感じやすいです。せっかくのリフォームも、嫌な臭いに包まれては台無しと考えることもあるでしょう。
ただし、漆喰の臭いは年月を経れば自然と消滅します。臭いがなくなるまでガマンできない人は、芳香剤などを部屋に置くことで対策可能です。
もし、漆喰の臭いに不安がある人は、試しに部屋に少量の漆喰を置いてみるといいでしょう。実際に臭いを体験しておくことで、施工後に後悔するリスクを減らすことができます。
工期が長い
漆喰外壁は他の外壁よりも工期が長くなりやすいです。パネル系の外壁では下準備と外壁材の貼り付けで終わりますが、漆喰を塗るには時間がかかります。季節によっては漆喰の乾燥しづらく、施工完了までに半月を超えることもあります。
工期が長いと、生活に支障が出るため、外壁が完成するまでにストレスが溜まることも多いです。作業員の出入りが長引くと、近隣から苦情をいわれることもあります。
工期の長さによって思わぬトラブルが発生しやすいのが、漆喰外壁のやっかいなところです。
施工費用が高い
漆喰外壁は他の外壁にリフォームするよりも費用が高くなります。具体的には以下のとおりです。
外壁の種類 | 費用相場 |
---|---|
漆喰外壁 | 150~200万 |
モルタル外壁 | 70〜120万 |
窯業サイディング | 130~170万 |
上記が漆喰外壁の費用相場と、他の外壁の費用相場です。表を見ればわかるとおり、漆喰外壁の相場は高額です。住宅の構造や施工面積によっては、モルタル外壁の2倍近くの費用が必要となります。
漆喰外壁は費用を抑えたい人にとっては不向きといえるでしょう。
漆喰外壁を作るには職人の技術が必要
漆喰外壁を作るためには左官職人の高度な技術が必要不可欠です。漆喰は一度に塗り上げるのではなく、下塗りを乾燥させては上塗りを繰り返します。柔らかい漆喰を均一に伸ばしていくのは、並大抵の経験ではできません。
地道な作業が多いため、自然と工期も長くなります。工期が長ければ必要な人件費が増し、結果として施工費用が高くなるのです。業者によっては左官の技術料金を上乗せした価格を提示していることもあります。
顧客目線では施工費用の高さが不満となりますが、左官職人の高い技術を思えば納得せざるを得ない要素もあるでしょう。
漆喰外壁のデザイン性について
外壁のリフォームを考えている人は、漆喰外壁の外観についても気になっていることでしょう。以下では、漆喰外壁のデザイン性について解説していきます。
壁に継ぎ目がないことが魅力
漆喰外壁がデザインとして優れている点は継ぎ目がないことです。パネル系の外壁のように壁に溝がなく、キレイな平面状の仕上がりになります。住宅をマットな外観にしたいときにぴったりです。
注意点としては、一度傷が入ってしまうと目立つ可能性が高いことです。漆喰外壁は耐用年数は長いですが、硬いものでこするとすぐに傷が入ります。外壁の機能としては問題なくとも、外観を維持するには手入れが必要です。
メンテナンスさえ怠らければ、高級感のある外壁として存在感を持たせることができます。
模様をつけることができる
漆喰外壁は職人の手技によって表面に模様をつけることができます。観光名所のお城などを想像すればわかりやすいでしょう。漆喰の表面が波打っていたり、ランダムな筋が入ったりしていることがあります。一般住宅の漆喰外壁にも同様の模様を描くことが可能です。
ただし、模様を描くには高度な技術が必要です。漆喰を塗ることに慣れている職人でも、模様を描くのは無理という人が珍しくありません。
模様のある漆喰外壁にしたいときは、事前に業者に対応しているか確認する必要があります。
現代では斬新な外壁に見えることもある
漆喰外壁はときに斬新に見えることがあります。漆喰外壁は古くから日本にありますが、昨今の新築住宅ではあまり採用されません。場所によっては他の住宅とは大きく違った外観として目立つことでしょう。
周辺の住宅が洋風建築ばかりなのであれば、あえて和の装いを狙ってみることでデザインがかぶることを避けることも可能です。
住宅に個性を出したいときは、漆喰外壁を検討してみる価値があるといえます。
意外に色のバリエーションは豊富
漆喰といえば白というイメージが強いですが、実は色のバリエーションは豊富です。淡いベージュやグリーンといった色が存在します。白だと遊びがなくてつまらない人は、業者に使える色を確認してみるといいでしょう。
外壁の面ごとに色を変えるといったことも可能です。アイデア次第でセンスのある外観が実現できます。ただし、漆喰の性質上、原色に近い鮮やかな色は難しいです。周辺に塗装されたパネル外壁の住宅が多いと、見劣りする可能性があります。
色つきの漆喰を使うときは、周辺の環境を意識して色を選定してください。
西洋漆喰を使ったリフォーム例もある
漆喰外壁のなかには「西洋漆喰」が使われるケースもあります。漆喰は日本固有の建材と思っている人がいますが、海外でもメジャーな建材です。有名なものでいえば、スペイン製やフランス製があります。
西洋漆喰は日本で使われる漆喰とは違い、大理石や色粉が含まれています。混入させる成分は国や地域によって違いますが、白く光ったような質感になるのが特徴です。海外の教会などを見れば、日本の漆喰とは輝度が違うことがわかります。
普通の漆喰では物足りないという人は、西洋漆喰を検討してみてください。
漆喰外壁は耐久性にこだわりたい人向け
漆喰外壁の詳細について解説してきました。漆喰外壁はしっかり手入れすれば長持ちする耐久性が魅力です。もし、あなたが長持ちする家にリフォームしたいのであれば、漆喰外壁は理想といえます。
迷ったときは他の外壁の特徴と比較してみてください。漆喰外壁の良さがあらためてわかるはずです。