外装材として使われることの多いトタンですが、一口にトタンと言っても様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。
そのため、トタン外壁の張り替えと言っても様々なパターンがあり、費用も異なってきます。
そこで今回は、トタン外壁の種類や張り替え施工費用、張り替えの際に注意するべきポイントなどを丁寧に解説していきます。
これから張り替えを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
トタン外壁とは
トタンとは鉄板の表面を亜鉛でメッキしたもののことをいいます。
最近は屋根材としての使用頻度は徐々に少なくなってきていますが、築年数が比較的長い家では外壁としてまだまだ多く見られます。
トタンの一番のメリットは、 他の屋根材と比較して価格が安い ということです。もちろん経年劣化はありますが、設置当初は雨漏りの心配もなく少ない費用で屋根を設置することができるため、安全面と費用面の心配を両方解決してくれる優れた素材です。
反面、トタンには 降雨時に雨音がうるさいことや、外見が安っぽくなってしまうというデメリットがあります。特に外見に関しては、最近の新築で使われていない大きな理由と考えられます。
また、表面の亜鉛メッキが傷ついて剥がれてしまった場合、内側の鉄板が錆びて穴が空いてしまうことがあったりと、他の屋根材に比べて耐用年数が短いというデメリットがあります。
トタン外壁の種類とそれぞれの特徴
トタン外壁は、波板の素材によって3種類に分けることができます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
塩ビ波板
硬質塩化ビニル樹脂製の波板は、他の素材よりも安価で予算が少なくても導入することができます。また、柔軟性があり加工が簡単であるため、素人でも扱いやすい建材であると言われています。
塩ビは紫外線により劣化が生じるという特性があるため、直射日光が当たる場所では耐用年数が短くなってしまいます。そのため、日光があまり当たらない日陰での使用がおすすめです。
塩ビ網入り波板
塩ビ網入り波板は、硬質塩化ビニル樹脂波板の中に強化ガラスでできた網状の繊維を挟み込み、強度を増したものです。ガラスを使用するためガラスネット波板とも呼ばれています。
通常の塩ビタイプの波板の耐用年数が約2~3年であるのに対し、こちらのガラスネット波板は約5~7年の耐用年数があり、長期間の使用にもおすすめの素材です。
塩ビ網入り波板は透明で光を通すため、車庫などで用いると暗くなり過ぎずに便利です。
ポリカ波板
ポリカーボネート波板は、安価で耐久性が高いことが特徴です。この素材は比較的多くの場所で使用されており、塩ビタイプの波板よりは価格が高いですが、耐用年数は約10年もあり、ガラスネット波板の2倍の耐久性を誇ります。
ポリカ波板は紫外線を通さないため日光を避ける目的で使用されることが一般的です。反対に、日光が必要な温室や開放的な雰囲気を演出したい場合には向いていません。
ポリカ波板には裏表があり、間違えると本来の機能が発揮できないため、注意が必要です。
トタン外壁の張り替え費用
トタン外壁の張り替えには、元の外壁がどの素材を使っていたかによって大きく異なってきます。それぞれのパターンの費用を見ていきましょう。
同じトタンに張り替える場合
既存のトタンと同じものに張り替える場合は、まず既存のトタンを剥がさなければなりません。その場合の撤去費用が1平方メートルあたり約800~1,200円が程度の相場になります。これは一般的な素材の撤去費用よりはやや安めです。
新たに張り付けるトタンの種類によって張り替えの費用は異なります。
サイディングに張り替える場合
トタン外壁は比較的古い外壁素材のため、最近ではトタン外壁からサイディングに張り替える家庭も増えています。
サイディングとはサイディングボードとも呼ばれている外壁の仕上げ材の一つであり、近年新たに建築されている住宅の外壁には、ほとんどこのサイディングが使用されています。
塗り壁と比べるとサイディングは施行が簡単で工期もあまりかからず、工事費も安く耐久性も高いため、よく使用されています。
サイディングには主に窯業系サイディングと金属系サイディングに分類されます。
窯業系サイディングはセメントや粘土、繊維質の原料を元にして作られており、 成型時の圧力をかける際に型押しすることによってレンガやブロックのような模様を自由に付けることができます。
費用は1平方メートルあたり約3,000~5,000円程度となります。
一方、 金属系サイディングは窯業系サイディングの約3分の1程度の重さであり、壁の面積が広い倉庫や工場などで利用されています。この素材は金属を利用していながらも錆びにくいため、雨などによる耐久性も強いというメリットがあります。
費用は1平方メートルあたり約4,000円が相場です。
トタン外壁に張り替える場合の注意点
トタン外壁は安価で耐久性もありますが、癖のある素材でもあります。以下の点に注意して張り替えを行うと良いでしょう。
劣化しやすい性質を理解しておく
トタン外壁は一般的に風雨にさらされることによって色あせや汚れが目立つようになったり、錆びてしまうことがあります。このような状態になると、外観が損なわれ、非常に安っぽく見えてしまいます。
トタンを使用する場所が雨風にさらされる場所ではないか、事前によくチェックしておく必要があります。
また、トタンは劣化すると表面の亜鉛のメッキが剥がれ、耐用年数がぐっと縮まってしまいます。トタンは表面の状態によって劣化の進行度が大きく異なると覚えておき、定期的なチェックをしておきましょう。
色や素材の組み合わせを検討する
デザイン性に関してはネガティブなイメージが多いトタンですが、近年はデザイン性の高いトタン外壁も増えています。
一色のトタンで統一するのではなく、明るい色と濃い色を組みあわせることによってデザイン性を高めるという方法があるので、業者にお願いする際にデザイン面の相談もしっかりしておきましょう。
トタン外壁はDIYで張り替えることが可能か
トタン外壁は劣化がわかりやすいため、DIYによる塗装を使用とする方がいますが、実はトタン外壁のDIYはおすすめできません。
トタンの張り替えは高所作業となるため、慣れない素人が作業すると思わぬ怪我やトラブルの原因となってしまう可能性があるからです。
また、トタンのつなぎ部分の施工を誤ると雨水が浸入し、雨漏りの原因となるなどトラブルも起こりえます。こうなると住宅全体の寿命を縮めることになってしまうため、プロの業者に施工をお願いするようにしましょう。
トタン外壁の張り替えを業者に依頼する際のポイント
トタン外壁の張り替えを行う際は、多くの素材を扱うメンテナンス業者に依頼するようにしましょう。
上述の通り、トタン外壁の素材はそれぞれ一長一短があり、自宅の環境や予算状況によってもベストな選択肢は変わってきます。 多くの素材を扱っているリフォーム業者であれば、それだけ依頼主の要望を実現できる可能性があります。
また、トタン外壁は業者の腕前が仕上がりや耐久性に大きな影響を与えます。依頼者が気づかなかった良いアイディアを提供してくれることもあるため、業者選定の際に実績を確認することは最優先事項と言えます。
最後に、外壁の貼り替えは業者によって費用や工事方法が大きく異なってきます。そのため、少なくとも3社以上の業者から見積を取り、内容について精査することが必要です。
見積もりの際は、単価や施工期間はもちろんのこと、アフターフォローがどの程度まで受けられるのかもチェックしておくといざという時も安心です。
トタン外壁は比較的安価な素材であるとは言え、数年に一度の大きな買い物であり工事です。後悔のないよう、業者の選定は慎重に行うようにしましょう。