漆喰といえば、姫路城の城壁にも使用されている美しく耐久性に優れた塗料です。最近ではデザイン性に優れた一般住宅向けのものもあり、導入が進んでいます。
では、漆喰外壁のメンテナンスにはどれくらい費用がかかるのでしょうか。また、メンテナンスの方法はどのようなものがあるのでしょうか。
そこで今回は漆喰外壁のメンテナンス時期や方法、工事費用などについて解説していきます。これから漆喰外壁を導入しようと検討されている方、すでにある漆喰外壁のメンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にして見てください。
漆喰外壁とは
漆喰とは、日本の城にも使われる耐久性、防火性に優れた建材です。
漆喰の外壁は、主成分である水酸化カルシウムや炭酸カルシウムが長い年月をかけて二酸化炭素を吸収して硬化していき、漆喰自体を固く強化します。そのため、耐久性は100年以上とも言われており、古くから建物を強化するために使われてきました。
もちろん、メンテナンスをまったくせずに100年もつというわけではありません。定期的な点検が必要となります。
漆喰外壁は湿度を調整してくれるのでカビ・ダニを抑制する効果があること、防火性が高いこと、消臭効果があることなど様々なメリットがあります。
一方、表面に傷がつきやすかったり、施工できる職人に限りがあるなどのデメリットも存在します。
漆喰外壁には、本漆喰、西洋漆喰、土佐漆喰、琉球漆喰など特徴的な漆喰が多く存在します。また、既調合漆喰と呼ばれる漆喰メーカーが製造した漆喰製品も販売されています。
漆喰外壁のメンテナンス内容と費用
漆喰外壁は、主に塗装工事と左官工事の2種類が存在します。特に漆喰の左官工事は職人技のため、実績がある業者に依頼すると安全です。
漆喰の塗装(塗装工事)
漆喰外壁のメンテナンスでは、左官工事と塗装工事の選択がありますが、塗装をお勧めします。
左官工事は前述の通り、職人が少なく工期も掛かるものなので、費用が高くなる傾向にあるためです。
塗装で塗り替えをすれば、漆喰の風合いや機能はそのままに、美しい外見を保つこともでき、左官工事よりも費用が抑えられます。業者に依頼するメンテナンスは、漆喰専用塗料での塗装工事がお勧めです。
塗装工事によるメンテナンスは、塗装職人により行われ、費用は1平方メートルあたり4,500円ほどです。メンテナンスは素地の調整後、刷毛やローラーで漆喰塗料を塗布していき、仕上がりは左官工事の漆喰と遜色ありません。
漆喰の塗り直し(左官工事)
左官工事とは、モルタルなどの材料を水で練り、下地の上に塗り付ける工事のことを言います。
この手法は熟練した職人によって美しく仕上げてもらうことができますが、そのぶん費用は高くなります。
左官工事での部分メンテナンスでは1平方メートルあたり3,500円程度です。部分メンテナンスでは表面のひび割れなど軽い症状に対して上から漆喰を塗り重ねる方法で補修します。
一方、漆喰外壁全体のメンテナンスをする場合は、1平方メートルあたり5,000円程度の費用がかかります。全体のメンテナンスでは、一旦既存の漆喰を撤去し、下地から漆喰の塗り替えをします。
自分でできる漆喰外壁のメンテナンス
漆喰外壁のメンテナンスは業者に依頼すると高額になりがちですが、ある程度軽度の劣化状態であれば自分でメンテナンスすることも可能です。それぞれの詳しいやり方を見ていきましょう。
外壁の汚れを落とす
漆喰の軽い汚れは、消しゴムや水洗いで落とすことが可能です。
目の細かいサンドペーパーをかけても汚れ自体は落ちますが、漆喰を削って綺麗にする行為なので、やりすぎないように注意が必要です。
養生
養生は市販の漆喰とマスキングテープを用いて行うこともできます。
柱や幅木・ドア枠・窓枠・と壁面との境目にマスキングテープを使って養生します。
壁際から2~3mm離してマスキングテープを貼ります。テープはピンと伸ばして貼り、貼り終えた後はテープがしっかり付着するよう、テープを指で押さえます。
貼ったマスキングテープは、2回目の漆喰の塗りを終えた直後に、必ず剥がしてください。
塗り
表面の小さなひびや傷であれば、ホームセンターなどで購入できる「漆喰補修キット」を使って壁を塗ることで直すことができます。
ただし、元の漆喰と異なるメーカーが販売している物を使用する場合は、色味が少し異なってしまう場合があるので注意してください。
800円前後で購入でき、粉を湿らせて塗りこむタイプの物から、最初から練ってあるタイプもあるため、比較的手軽に補修をすることができ、初心者にもおすすめです。
業者に頼まないと直らない漆喰外壁のメンテナンス
漆喰外壁のメンテナンスは比較的高額なため自分で行おうとする方も多くいますが、以下のような場合は業者に頼まなければいけません。無理に自分で直そうとしないようにしましょう。
ひどい汚れやひび割れがある場合
市販の補修キッドなどはあくまで部分的な細かい汚れやキズを直すためのものです。従って、ひどい汚れやひび割れがある場合、業者に頼んで直してもらう必要があります。
外壁の劣化がひどい場合、安上がりな手法を選んで効果のないメンテナンスを行うと、後々問題が深刻化し、かえってメンテナンス費用がかさんでしまうことがあります。
特にひび割れは表面を塞いでも直したことにならないこともあるため、業者に必ず見てもらうようにしましょう。
漆喰の剥がれがある場合
漆喰の剥がれがある場合、劣化が深刻なため自分でのメンテナンスは避けるべきです。
漆喰外壁の剥がれは、下地自体に問題がある可能性が高いため、素人では直すことが困難です。業者に検査をしてもらい、根本的な解決をしてもらう必要があります。
高所での補修作業の場合
家の2階部分など高所での補修作業が必要な場合は、無理をせず専門の業者に依頼しましょう。
高所の作業は慣れていない人が行うと重大な事故につながる恐れがあります。専門の業者であれば作業用の足場なども用意しているため、しっかりと高所でも正確な作業ができます。
漆喰外壁の汚れを落とすときのポイント
自分で漆喰外壁を直す場合は、便利な市販の製品を使うと手軽にメンテナンスができます。メンテナンスの手順は商品によって多少異なるので、使用する商品の施工手順通りに施工をおこないましょう。
また、漆喰外壁の耐久性に優れていますが、明るい漆喰であれば汚れは目立ちやすいことも特徴です。定期的に外壁の点検を行い、汚れが広がる前に早期のメンテナンスを行えば、それだけ費用も作業時間も少なく済みます。
漆喰外壁をメンテナンスする場合の注意点
漆喰が固まるまでは、漆喰周辺を湿度が低い状態に保たねばなりません。外壁に使用の場合は、塗り付け後1週間程度は雨に当らないように、養生するようにしましょう。
また外壁に白色以外を使用した場合は、白い粉が吹く白華現象が起こる場合もあります。外壁に使用する場合には、白色もしくは淡色系のものを使用すると粉が付着しても目立たないためおすすめです。
漆喰を塗った後は1週間程度湿気に当たっていないかなどチェックする必要があるため、工事施工後の対応もしっかりスケジュールに入れておきましょう。
漆喰外壁のリフォーム業者の選び方
漆喰外壁のリフォーム業者を選ぶ場合は、家がどの程度の劣化状態なのかを把握し、適切に依頼する必要があります。上述のとおり、部分補修と全体補修、塗装工事と左官工事では費用や工事内容が大きく異なるからです。
また、左官工事は熟練した職人がいるかどうかが施工後の出来栄えを左右します。依頼する業者に熟練した職人がいるかどうかは、見積もりの段階で工事中の写真を見せてもらえるかどうか聞いてみると良いでしょう。実際に工事を行なっている業者であれば写真を提供してくれます。
漆喰の外壁メンテナンスは業者に依頼すれば比較的高額になりますが、だからと言って無理に自分で行うと逆効果になってしまいます。定期的な点検を心がけ、大きな劣化を発見した場合は無理せず専門の業者に依頼するようにしましょう。