「古民家をリフォームしたいけど、予算が足りなくて…」という悩みを抱えているのであれば、補助金を利用してみてはどうでしょうか。補助制度の中には、古民家リフォームでも使える補助金がいくつかあります。そこで今回は、古民家リフォームの前にチェックしておきたい補助金の話について紹介します。
目的別!古民家リフォームの主な補助金
古民家リフォームでも申請できる補助金には、一体どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、分かりやすいように目的別に分けで紹介します。自分のリフォーム目的を改めて思い出しながら読んでみてください。
バリアフリー化する場合
祖父母が住みやすいようにリフォームしたい方や老後の生活を考えてリフォームしたいのであれば、バリアフリー化が良いでしょう。バリアフリー化のリフォームとしては、段差の削減や玄関スロープの設置、車椅子でも傷つきにくい床材への変更などが挙げられます。
なお、バリアフリーリフォームの基礎知識に関しては別の記事で紹介しているので、そちらをご覧ください。
バリアフリーリフォームについて詳しく知りたい方はこちら
介護保険
古民家をバリアフリー化する場合は、介護保険を活用しましょう。介護保険には、被保険者が必要とするリフォームに対して補助金を支給する制度があります。ただし、どんなリフォームでもOKというわけではなく、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
補助金を受け取れる被保険者は要支援1~2か要介護1~5のどれかに当てはまる人で、介護保険被保険者証に記載されている住所の家が補助金対象となります。
限度額は被保険者一人に対して20万円までで、その1割は自己負担。20万円に関しては分けて使うこともでき、1回目と2回目のリフォームで10万円ずつという計画も可能です。
環境のことを考えてリフォームする場合
リフォームを検討している方の中には、環境のためやエネルギーのためにリフォームする方もいることでしょう。環境目的の場合は上記のバリアフリー化よりも補助金制度が揃っており、「ZEH補助金」や「エネファーム設置補助金」などがあります。
ZEH補助金
ZEH(Net Zero Energy Houseの略)補助金は、エネルギー収支が0になるようなリフォームを目指す方に対しての補助制度です。要件としては、以下の2つが挙げられます。
1.所有者が自ら住居している戸建て専用住宅であること
2.登録されているZEHプランナーもしくはビルダーが、建築・設計・改修・販売を行うZEHであること
この制度は4つに分けることができ、それぞれ内容が異なります。各補助額に関しては、分かりやすく以下の表でまとめましたのでご覧ください。
事業名 | 補助額 |
---|---|
ZEH | 定額60万円/戸 |
ZEH+ | 定額105万円/戸 |
ZEN+R | 定額115万円/戸 |
先進的再エネ熱等導入支援事業 | 最大90万円 (ZEHまたはZEH+との併用可能) |
なお、事業ごとに細かな要件が設けられているため、もしZEH補助金を申請したいのであればそれらのことにも注意しましょう。
エネファーム設置補助金
エネファームとは都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素で発電し、同時にお湯も作ってくれる家庭用燃料電池のこと。電力会社から購入する電気を減らすことができ、節電にも繋がります。
もし小さな発電所とも呼べるエネファームを設置したいのであれば、エネファーム設置補助金を利用しましょう。最大4万円/台が定額の補助であり、さらにLPガス対応や寒冷地仕様などの条件をクリアしていると3万円/台がプラスされます。追加補助に関しては重複加算が可能であるため、1つしか適用されないわけではありません。
ちなみに、エネファームはPanasonicやアイシン精機などから販売されています。設置する際は補助金のことだけではなく、メーカーごとの性能もチェックしておきましょう。
次世代省エネ建材支援事業
次世代省エネ建材支援事業は、潜熱蓄熱建材や調湿建材といった省エネ建材を用いたリフォームを対象とした制度。限度額は戸建てで200万円/戸、集合住宅で125万円/戸です。ただし、必須製品として断熱パネルか潜熱蓄熱建材を導入しなければなりません。
調湿建材に関しては、必須製品と同時に導入する場合のみ対象となります。このようなケースは、調湿建材以外に断熱材や玄関ドアなども当てはまります。なお、こちらの制度は最低改修率の制限が設けられていないことから、家の一部だけリフォームしたい場合でも問題ありません。
高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業
この制度は、15%以上の省エネ効果が見込まれる断熱材や窓の改修や家庭用蓄電システムの設置などを行う際に補助してもらえます。上限額は、戸建てで120万円/戸(窓のみの改修なら40万円/戸)で、集合住宅は15万円/戸です。
なお、家庭用蓄電システム・家庭用蓄熱設備の設置は上記の内容とは別。前者は2万円/kwhか20万円のいずれか少ないほうで、後者は1台につき5万円です。ただし、家庭用蓄電システムの場合は補助対象経費として工事費が含まれていません。
その他の目的でリフォームする場合
バリアフリー化や省エネ以外の目的でリフォームする場合は、以下の制度を検討してみましょう。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
こちらの制度は、劣化対策・耐震性・省エネ性・維持管理という4つの基準を超えなければいけませんが、最大300万円/戸も受け取れます。といっても全てのリフォームに当てはまるわけではなく、タイプごとで異なります。
タイプ | 補助額 |
---|---|
評価基準型 | 100〜150万円/戸 |
認定長期優良住宅型 | 200〜250万円/戸 |
高度省エネルギー型 | 250〜300万円/戸 |
上記のように全て最大300万円/戸では無いため、申請したい方は注意しましょう。例えば、評価基準が劣化対策・耐震性・省エネ性だけクリアしている場合は評価基準型となります。
古民家再生は各自治体もチェックしておこう!
古民家のリフォームは再生という言葉が使われることもありますが、これらは地方自治体が補助してくれることもあります。ここでは、その中から3つをピックアップしました。それぞれ、どのような制度を設けているのでしょうか。
福井県での補助制度
福井県池田町では、街の賑わい作りや交流人口の増加を目指して空き家に対するリフォームの補助を行っています。空き家を増築・改築・改修する場合、その工事費の30%を町が補助。ただし、200万円が上限です。
また、福井市は伝統的な民家に対する経費の一部助成を行っています。外観の改修工事や耐震補強を除く構造体の改修工事などを対象としていますが、民家に対する条件が細かく設けられているため、気になる方は福井市の公式サイトをチェックしましょう。
兵庫県での補助制度
兵庫県では、伝統的な木造建築の技術や経験維持のために古民家再生促進支援事業を行っています。対象となる古民家の条件は細かく、築50年以上経過していることや軸組構法を用いていることなど。最大の補助額は500万円で、対象経費区分によって変動します。
対象経費区分 | 補助額 |
---|---|
〜499万円 | 対象外 |
500万円〜999万円 | 250万円 |
1000万円〜1499万円 | 400万円 |
1500万円〜 | 500万円 |
なお、詳しい条件や問い合わせ先に関しては兵庫県の公式サイトをご覧ください
富山県での補助制度
富山県高岡市では、県外移住者の空き家(古民家)リフォームに対して支援しています。対象者は、1年以上居住していた富山県外のエリアから高岡市に転入し、古民家に5年以上住む方。補助率はリフォーム工事費の3分の2で、最大100万円の補助が受けられます。
補助金を受け取る上で確認しておくべきこと
ここまで様々な補助制度を紹介してきましたが、気になる制度はありましたでしょうか。もしそうであれば早速申請したくなるかもしれませんが、その前に注意点を確認しておきましょう。知らないと、申請が通らないかもしれません。
①必ず応募できるとは限らない
補助制度はスケジュールや予算によって定められているため、タイミングが悪いと申請ができないかもしれません。反対に申請が多ければ抽選で決められるケースも有るため、利用したい制度がどのようなスケジュールで進められるのか事前に確認しておきましょう。
②補助金を受け取るのはリフォーム後
補助金は申請してすぐ受け取れるものではなく、基本的にはリフォーム後に受け取ります。ですので、元々の予算が少ない段階でリフォームするのはおすすめできません。リフォームはどうしてもお金がかかってしまいますが、工事後に補助金を受け取るため、お金のことも忘れずに考えましょう。
③申請前に条件をチェック
ここまで読んできた方なら分かると思いますが、制度ごとにそれぞれ条件が設けられています。中には、福井市や兵庫県の補助制度のように条件が細かいケースもあります。もしクリアしていなければ、申請が通らない可能性があります。
また、条件をクリアしていても書類不足や記入不足などでNGな場合も。申請する際は、書類や記入内容もきちんとチェックしておきましょう。
④業者選びも重要なポイント
補助制度を利用したいのであれば、業者選びも大切です。もし業者が補助制度についての知識を持っていれば、申請のサポートをしてくれるかもしれません。複雑な制度もあるからこそ、分からない時に教えてもらえるのはどんな方であれありがたいと思うはずです。
リフォームで快適な古民家を目指そう!
今回は、主な補助制度や確認しておくべきことなどについて紹介しました。古民家リフォームでは、次世代省エネ建材支援事業や高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業などの制度が利用できます。ただし、それぞれ条件や補助限度額が異なるため、それらのことは必ず確認しておきましょう。
この記事が、古民家を住みやすくリフォームしたい方の参考資料として用いてもらえれば幸いです。